のめり込むようなストーリー展開ではなく、どちらかというと問題提起に思えた。
「普通」とは何か?
就職すること、結婚すること、子供がいること…
そんな普通になれない主人公の話。
普通側に属している人は、普通ではない側の人を
蔑んだり、一生懸命普通になるように説得したり、普通側に引き入れようとする。
主人公は、普通の感覚がわからないから「明確な指示をくれれば従うのに」と。
私はたぶん、普通ではない側の人間だ。
だから主人公の感覚が少し理解できるような気がした。
30代後半で独身だし、結婚したいとも思っていない。
そもそも今の結婚制度ってどうなの?とすら思っている。一緒に居るだけじゃダメなの?
主人公は最後、自分の在るべき姿を見出したのか?コンビニに戻っていった。
普通からしたら、ありえない選択。もしかしたら将来苦労するかもしれない。
でも自分の感覚と一致しない世界に閉じ込められて幸せなのか?と考えると
主人公にとっては最善の選択なのだろうな、と感じた。
これを現実世界で選択していくことに、私は恐怖を感じている。
感覚は理解できるし、自分の意思を貫く姿にそう在りたいと思うし、幸せは自分が決めると思っている。
でも現実出来ていない。それはお金の不安が大きいから。
今より収入が下がったら、この世界情勢で不安定なところに飛び込むのか、自分に何ができるのか…
そんなことが頭の中を埋め尽くしているから、結局私は「普通」に属している人間に見られているのだろう。