H先生はお医者さん。私がとっても大切に思っている人、Mさんを助けてくれた。

だから、H先生の顔は忘れないと思う。


H先生と最後にお会いしたのは、たぶん5年前くらいだろうか。忘れてしまったけれど、随分長い間お会いしていない。


Mさんを助けてくれたのは、12年前ぐらいの話し。

12年経ったのに、H先生のお顔や雰囲気は変わっていないような気がして、改めて驚く。


昨日、思いがけないところでお会いしたけれど、直ぐにH先生だ!と思った。


H先生は、Mさんの小さな小さな手の細い細い血管に検査の為の採血の針を刺してくださった。


Mさんは入院中、点滴漬けで、手に針を刺す血管が見当たらないくらいの状態だった。


入院中、Mさんはうどんしか食べない時があった。お粥はほとんど食べなかった。

私はあまり気にはしていなかった。点滴もしているし、大丈夫だと思っていたと思う。


しかし、H先生は、入院中の食事を用意してくださる部署の方に、毎日Mさんにうどんを用意して欲しいと頼んでくださり、「うどんは金曜日しかできない」と断わられた。とお話ししてくださった。


いつもとても冷静なH先生が、熱く少し苛立ちを隠しきれずにお話ししてくださったその姿が、忘れられない。


昨日、H先生とお会いしたのはパン屋さん。


H先生はパンを買った。


私はレジ係。


大好きな仲間達の焼いた美味しいパンをH先生は買った。


H先生は楽しくパンを食べて、また元気に診察してくださると思う。


H先生がパンを買うお手伝いができたことがとても嬉しい!


またお会いできるのを楽しみにしている。