アイリスオーヤマ(仙台市)は6月から国内でマスクの生産を始める。月産量は6千万枚を見込む。同社はこれまで中国から月8千万枚を輸入していた。政府の要請に対応し、約10億円を投じて角田工場(宮城県角田市)で生産する。今秋には米国、韓国、フランスでも現地生産を始める考えだ。

 

アイリスはこれまで中国の大連と蘇州の2工場で不織布マスクを作り、日本向けに輸出していた。中国では現地ニーズも旺盛で、日本向けの輸出量を増やせないもようだ。生産体制を日本に構築することで、国内の安定供給に貢献する。国産品については中国製より約2週間、納期を早めることができるという。供給能力は年間17億枚近くに達する。不織布マスクでは国内トップクラスという。

 

日本国内のマスク不足で政府は3月中に月6億枚の確保を目標に掲げ、各企業に供給量の増加を要請していた。アイリスもこれに応じた格好で、補助金の対象になる。

 

同社はマスクを装着する習慣がなかった海外でも需要が生まれると見て現地生産を始める。米国ウィスコンシン工場で20年9月から月6千万枚、同年10月から同3千万枚を韓国の仁川、フランスのパリ郊外の工場でそれぞれ生産する計画だ。

 

国内のマスク需要は年間55億枚(18年度)に及ぶが、約8割を中国に依存している。このため新型コロナの感染拡大でマスク不足が深刻化。興和(名古屋市)やユニ・チャームも政府の要請をうけ、国内の生産能力の増強に動いている。