久しぶりに映画のはなし:東京物語 | orange pekoe ナガシマトモコブログ

久しぶりに映画のはなし:東京物語

先日実家に帰る用事があって、

久しぶりに父と母とごはんを食べながら

映画の話になりました。


最近リメイクされたことで再評価されている


小津安二郎の「東京物語」

東京物語 [DVD]/松竹

¥3,990
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私はこれはかなりのfavoriteな映画なのですが、

この映画に関するエピソードで、
ずっと忘れていて、その日の家族の会話で思いだしたことがあったのです。



私がはじめてこの映画をみたのは10代の頃、

大学の映画論の講義の課題映画としてみたのでした。



小津安二郎といえば、日本が誇る映画監督のひとり。


その時は課題という趣きもあり、

小津映画の語法などについて注目して観ており、

当時の私にはそちらがとても新鮮に写っていました。


(ちなみに、その語法とは、カメラの位置。

小津映画は、まるで正座をして遠くから観ているような低い位置にカメラが定点で置かれている方法が多用されているのです。

日本人なら誰でも、落ち着く、そしてとても味のある、

日本ならではの観点ですよね。)



観たあとは、とてもいい映画だったという印象のまま、しばらく月日が経ちました。




大学を卒業してすぐに上京した私は、

デビュー後の活動の忙しさからなかなかゆっくり実家に帰る事もままならない状態でした。




生まれてから、当然ずっと実家で過ごして来て、

はじめて家を出て、ひとり暮らしをしていました。



そしてそれが7~8年ほど続いたのちだったでしょうか。


ふと、「東京物語」が無性にみたくなり、

DVDを借りて来て、観たのでした。



その時に受けた印象は、10代のころとは深く変わっていました。


自分が実家を出て、忙しく東京で働いていたことが映画の世界にとても重なり、


また、私の両親は、関西は長いものの、出身が広島ということもあり

尾道弁をしゃべる映画の中の両親とも、重なるものがありました。






私は、家族に対して、大切にできることを、ないがしろにしていないか?

と、

涙がとまりませんでした。



限りある時間の中で、


仕事中心で、


後悔するようなことは、



絶対にしたくない!と強く思いました。





そして、私はそれから、両親を関東に呼び寄せることを考え始めたのでした。


私の兄もみんな関東に住んでいるのだから、

もしかしてそれが叶えば、

また家族の時間をたくさん持てるかもしれない、と。





それからは、私の両親のがんばりで、

なんと本当に、今はこちらに住んでいます。



そして、以前よりもずっと、家族の時間をたくさん持てるようになりました。


私たち家族は、この決断を、会う度に「よかったね」と言い合っています。





今があるのも、この映画のおかげだったんだ、


と、先日思いだしました。







本当に素晴らしい映画です。




大切なことを教えてくれて、



本当にありがとう。



小津監督。
キラキラ




みなさんも、まだ観ていない方は是非観てみてください。