永六輔さんの言葉は、簡単でやさしいのに、深く心に響く。





まだ、お目にかかったことのなかったころ、永さんのラジオに出演した。

東京の中で、好きな場所から、スタジオの永さんと中継でお話しするコーナー。


私は、母校、玉川学園から出演した。
傍らに、恩師。
恩師Y先生は、一緒に学校内を散策するだけで、出演はしていなかったけれど、つい私が話しかけてしまった。

その時に、先生をアダ名で呼び、いわゆるタメ口を使った私を、スタジオから永さんが、たしなめるような口調で「失礼ですよ」とおっしゃってくださった。
本当に有り難い。
傍らでY先生は、私の肩を持って「我が校は、こういう校風で…藤田くんを責めないで下さい」と、思わず声を出してしまった。
その時に永さんは「そうでしたか、それは申し訳ありませんでした。」と謝って下さった。

素敵な方だ、と、目の前におられないことを悔やました。


それから何年も経って、桑山と結婚することになった時に、桑山哲也とはどんな顔なんだ?と、メディアの方が探しだした写真が、シャンソンのお祭、パリ祭で、永さんとピエロの格好をして司会をしている時の桑山。



舌足らずの話し方が似ている、と言われた桑山。




永さんが、よく「おいしいものを食べたときに、おいしいね、って言う相手がいる。きれいな景色を見たときに、きれいだね、って言う相手がいる、それが幸せなことだよ」というようなお話をされていたそうです。

桑山は、夫婦二人でご飯を食べている時、ふとした時に綺麗な空を見たときに、この永さんの言葉を口にして「僕らは、このことに感謝だね」と言います。


そんな永さんの「見上げてごらん夜の星を」をライブで、英語の歌詞にして歌いたい、と思った私は、パリ祭の永さんの楽屋を訪ねました。

すると
「僕の歌を歌いたい、と断りに来たのは、あなたで二人目だよ。英語でも日本語でも、どんどん歌って下さい。」と、大きな笑顔で、お言葉を下さいました。

私は嬉しくて涙が出ました。



これからも、永さんの言葉を大切に、伝えてゆきたいと思います。