『三婆』
平成の三婆。

石井ふく子先生の演出の、新しい三婆。

三度目の再演。
今回はキャストもかなり変わっての上演。




初日を明日に控えて、石井ふく子先生と食事会。



楽しい。


石井ふく子先生の演出の作品は本当に楽しい。


一緒に作品を作った人にしか分からないな、きっと。



先生の演出は、リアリズムがあって、大袈裟なことは要求しない。
でも、物理的な見せ方もちゃんと教えて下さる。
照明があたらないところにいる人には、キチンとその旨を伝えるし、見えにくい表情についても理由を教えて下さる。

だからこそ「気持ちでやらなきゃだめ」という言葉 が信じられる。


気持ちで演じて、それがキチンと表現出来ているかを、物理的な角度からも見ていて下さってる。

私たち役者は、なんの不安もなく、ただ「演じる」それを受け取って、表現者として私たちを舞台の上に立たせてくれる。


夢みたいなことをお話しされたかと思うと、それが実現する話だと気づかされる。
どっからそんなアイディアが?と思うような演出があって、言われるままに演じると、そこに感情が乗り、お客様からの反応に繋がる。

お客様の心が動くことを計算している。あざとい、のに、嘘じゃない。

なんて憎い演出なんだ!


今日、最後のお稽古で、先生は、いつもの通り「みなさん よくして下さって ありがとうございます」って。横で演出助手の盛田さんもニコニコして「もう、だめは、ちょっとしきゃないから」って言う。

そしていくつか駄目出しがあって「お客様の反応もあるでしょうけれど、あまり、気にせずに。変えずにお芝居をして下さい。」

私が好きなのはここ。

お客さんの反応で変えるのではなく、稽古で作り上げて来たことを、続ける。
そりゃ人間です、変化していくでしょう。でも、原型はもう作ったのです。
それを変えては駄目。
演出家が客観的な目線で仕上げた絶妙なバランスを壊さないように演じる。

これ、とても大切な作業だと思うのです。

こっちの方がいいかな、これ、やってみようかな?は稽古でやれば良かったのです。
勿論、幕が開いてからも試してみたいときもあります。
その時は、演出家に見てもらってバランスを見てもらわなくては。


色んな演出家さんがいらっしゃるから、好きずきあると思います。


でも、私は、石井ふく子先生の演出が好きです。

というわけで、明日が初日。
是非是非、観にきて感想を聞かせて下さいませ!

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