こないだ撮了した映画の打ち上げがありました。



愛子おばちゃんだった私の…、あれです。


タイトなスケジュールの中、力をふりしぼって没頭していたメインキャスト、スタッフの方々も、今日は何か、憑き物が落ちたかのような、すっきりした笑顔で呑み交わしていました。


スチール写真で綴った想い出スライショーには、私が狙ってやっていたことが断片でも刻まれていて、嬉しくなりました。





私はこの映画に参加出来て、本当に良かった。


そう…
十代の頃、毎日ドラマチックで、毎日が勉強で、届かない彼方の夢に向かって、全力疾走していた頃の私を思い出していました。

自信もないのに自分だけを信じなくは、と真っ直ぐだった私。


そんな日々からもう30年以上になる。


自分の平常の中に「演技すること」が染み込んで、特別なことでなくなっている弊害をしみじみと痛感。


演じることへの更なるリスペクトや、探究心や、「自分を知る」ことの大切さを、再確認する時間になりました。


打ち上げ会場で、粗く繋いだ映画の感想をスタッフさんや監督から聞いて、心底、ほっとした私です。






昼間とはうって代わった夜風の中、帰宅して、偶然テレビで『ミスター・ベースボール』を観た。



ストーリーすら思い出せないくらい、久しぶりに観た。


若い私が出てきた。


ほんの僅かな登場シーンで、私は、意外にちゃんとやっていた。


記憶の彼方の私は、ヒドイ芝居をした、という想い出しかなかった。

ほんの数シーンしかない中、どう演じたら良いか迷っていたことしか覚えていなかった私。




悪くないわ。私。
今、そう思っちゃった。





ほっとした。



なんだか、不思議な気持ちになって、涙が出ちゃった。



そして、あの頃を思い出したり、私の尊敬する先輩が出ていたことも思い出したり…




藤原稔三さん。
としさん。
私が一番尊敬する役者さん。
一緒にニューヨーク、アクターズスタジオ公演にも行ったなあ。

この映画では、やはり小さな役だったのに、撮影が進むと、どんどん出番が増えて、大きな役になったという逸話を作った稔さん。





塩屋俊さん。
朝ドラのオーディションを薦めてくれたのは塩屋さん。
私のことを、いつも気にかけてくれていた塩屋さん…

塩屋さんの『アルジャーノンに花束を』は忘れられない…。


もういないなんて嘘みたいだ。








稔さん、塩屋さん、高倉健さん。


凄い映画だったなあ。



都内でドラマの撮影があって、夜中に車で名古屋の現場入りしたり、台詞もなければ、映るかどうかも分からない場面の為に、東京と名古屋を往復。


事務所からは「こんな役でも出るの?」と言われたけれど、私は何でもやりたかった。

オーディションを受けて、使ってくれるならば、どんな役でも、どんな現場でも、参加したかった。




変わらず私はガムシャラだなー。



それしかないんだなー。




若いね、とかよく言われるけど、確かに私は歳を取ったことも気づけたし、本当に若かった時に自信もなくて悩んでいたことは、たいしたことないことだった、って事にも気づかされたし、若い頃の演技への熱量が冷めていたのではないか、と不安になっていた自分の認識が間違っていることにも気づくことが出来たし!





今夜は良い夜だわ!




私は、演技がしたいの!





映画に出たいわ!


沢山の作品の一部になりたいわ!



そう。
私は役者になれて本当に幸せだわ!



ありがとう!



Y監督!
素敵な映画になるよう編集、頑張って下さいね!


藤田朋子、使いたいと思われる役者になれるよう、これからも、ちゃんと生きる。


ちゃんと毎日の自分を見つめる!