桑山君を送り出し、お片付けして、窓を開けて、ぶうと、ソファに座りました。
ああ。
私、歌うのが好きなんだな。
ホントにそう感じた。
昨日初参加した『音無美紀子の歌声喫茶』
昼間に参加して、昭和の歌を、みぃんなで歌って。
私は前に出て、イケメンピアニスト清塚信也氏の伴奏で『見上げてごらん夜の星を』を歌ったりして。
とにかく楽しくて「すぐ帰るの?」と聞かれて、桑山君も夜が遅いこともあって、ずるずると夜の部まで居残り、夜の部のゲストの方を聞いたら、沢田知可子さん、米良美一さんと聞き、引き続き参加決定!夜の部は予備に持参した譜面で『星に願いを』を歌っちゃいました。
沢田さん、米良さんと久しぶりの再会。
歌いました。
歌いました。
歌声喫茶の様子はね、入場の時に、ソングリストを貰います。
その中に書いてある百曲以上の昭和歌謡、懐かしの歌から、歌いたい曲を番号と曲名と、あればその曲にまつわるエピソードを書いて、開演前に、リクエスト箱に投入。
ようするにラジオのリクエストみたいな感じ。
それを、音無さんを中心に集まったメンバーの方々が箱から籤引きの要領で一枚ずつ引いて、出た曲を、アコーディオン、ピアノの伴奏に合わせ、会場みんなで合唱。歌詞は、正面のスクリーンに投影されますから、知らない歌詞でも大丈夫。
ハモりが出来る方はハモったり、またゲストや中心メンバーが一番をリードして歌唱したり、または、ゲストが伴奏に回ったり、リクエストした方にマイクを渡したり…
自由!
好きに歌う。
声を出すヨロコビ。
一緒に歌うシアワセ。
時代を共有する郷愁。
口にする言の葉に、アノ頃に揺さぶられ、部屋中に充満する時間旅行感。
私は、懐かしの歌も昭和歌謡も、両方いける世代。
どれもこれもワクワクする曲ばかり。
聞いて欲しい歌もある。
一緒に歌いたい歌がある。
聴かせて欲しい歌もある。
歌いながら、涙がポロポロあふれたり。
バズーカみたいに声が鳴ったり…!
私って、好きなんだな、歌が。
だから、幸せだったんだ、昨日は。
ずっと歌っていていい時間だったからね。
カラオケは、自慢げになりがち。ライブは、ちゃんと表現しなきゃって頑張る。
だけど昨日は、車の中や、お風呂場で歌うのと同じ気楽さで歌ってた。
楽しい!が、倍増なのは、おんなじように、歌いたい気持ちを抱えた仲間と、悦びの声を合わせていたこと。
いらした方の中には、カラオケで一人で歌うのは恥ずかしい。とか、歌は苦手だから歌いたくても声が出せない、とか…普段、生活に「歌う」がない方もいらっしゃると思います。
そんな方も、周りが歌っているなら、自分の声はかき消されて恥ずかしくないから歌ってみた、なんて方もいらしたかも。
兎にも角にも、みぃんな、笑ってたぞ!
みぃんな、笑顔だったのだ!
そして、熱い、優しい涙が溢れたの。
私はね、本当に感動したの。
最後に歌ったのは『今日の日はさようなら』
音無さんの歌声喫茶では、いつもこの曲で締めるようです。
明日、何が起きるか分からない、今の時代。
こうして初めて集う方々が、一心に歌う。
いつまでもたえることなく友達でいよう
明日の日を夢見て
希望の道を…
歌詞は「自由に生きる」と続く。
被災地への支援をする音無さんの取組み。
困窮する人に手を差し伸べようとすると安易に偽善者と揶揄されることもある昨今。
純粋にやれることで支援をする「自由」
照れ臭くて音に出来ないようなフレーズ。
うまく伝えられない、もどかしい心情が、尊き先人により歌になっている。
私達は、何気なく、それらを口づさむ。
何度となく、幼い頃から繰り返し歌ってきたメロディは、時を越え、それぞれの時代で、響きを変え私達の胸に流れていた。
世の中が移り行く中、宝の欠片のように、沢山の輝きの側面を変えて、私達と歩み、励ましてくれている歌。
信じあう喜びを大切にしよう
今日の日は、さようなら
また、会う日まで…!
そして心に、も一度刻むように歌う。
また会う日まで!と。
また会いたい。
だけど、わからないんだ、人生は。
でも、会いたい。
だから約束したいんだ「また会いたい日」を。
また会いたいね。
そしてまた、歌いたい。
会が終わり、お疲れ様。
がらんとした客席に膝を寄せて…
「なんか、涙出ちゃったね~」とぽそ。
「なんか…。ねぇ!」
神様、感謝します。
一人一人の小さな心に、大きな大きな光りを、ありがとうございました…。
ああ。
風が柔らかいな。
お膝の上のぶうは、あったかいな。
幸せだな…。