7月22日に岡山県岡山市で2023年の自治体学校が開催されました。
自治体学校は日本全国から自治体の問題に関心がある人々が集まり
公演や講座を開催し、みんなで教え合い、学び合うイベントです。
有料ですがオンライン受講もできます。
今回は7月22日~24日まで3日間開催されました。
初日の2番目の講演で東京都杉並区長の岸本聡子氏が登壇しました。
岸本氏は最初に
投票4,19ポイント上がり、約2万人の人が新たに投票した
今年の杉並区議会議員選挙の話をしました。
投票率を上げるのはとても大変だったそうです。
区長自らプラカードを持って一人で駅に立っていたといいます。
「新しい景色を見よう」がキャッチコピーで
投票率が上がれば議会の景色が変わる。と
岸本氏は掲げた7つの政策を推す事ができる
同じ方向性を向いた候補者ならば政党関係なく応援するとのこと。
杉並区議会議員選挙では、野党共闘の理想と言えるような
政党、会派を越えた候補者数人による共同街頭宣伝が実現しました。
これは、本当にすごいことだともいます。
街頭宣伝というのは
フツーは孤独なものです。
見る方も、立ち止まってみるのに勇気が要って
通り過ぎてしまったりします。
複数の候補者が一緒に街宣していたら
見る方も気軽に立ち止まれます。
「投票マッチ」というものを選挙管理委員会がやろうとしたのに
総務省に止められたので
杉並区民は自ら「杉並ドラフト会議」というサイトを立ち上げました。
こういった努力が
有権者が選挙に参加しやすい選挙に出来たのだと思います。
世の中を変えたいと思っている層はだいたい若い人で
特に女性が多いようです。
しかしそういった女性が親近感を感じられるような
候補者はなかなかいませんでした。
しかしこの選挙では今まで政治家ではなかった地盤も看板もない
一般市民の女性が新人候補として立ち上がりました。
定数48名で2000票とればほぼ当選する選挙です。
現職は12人落選し新人が15人も当選しました。
上位4名は新人の女性であり
上位10名中9名が女性だったそうで
今回の選挙で杉並区議会の男女比はちょうど半々になったのです。
区議会の景色は変わりました。
そして、それまでなかなか取り上げられなかった
ジェンダーや気候変動について区議会で質問されるようになりました。
岸本氏は
「普通の生活者が地方自治の現場に入っていくのが大事だ」といいます。
フランスでは小さい政党がよく連合を組んでいるそうで
そこへ市民団体や労働組合が入っていくそうです。
多様な人々を地域社会で育てていく。
ゼロからやっていくレベルだといいます。
世界的に「持たざる者たち」の運動がどんどん大きくなっていって
私たちはその流れの中にいるそうです。
もともとあった気候変動問題に少女グレタが立ち上がり
毎週金曜日に政治活動をしたように
若い人達が怒って立ち上がっています。
そこに自治体が連動する。
運動⇒地方自治⇒地方経済⇒運動といった循環を作りたいと。
こういった動き「ミュ二シパリズム」の発生地である
バロセロナでは政治の優先順位を変えて
子どもを中心にモノを考えて
「スーパーブロック」都市計画なる
住宅政策が打ち出されています。
岸本氏は
「水に準ずるくらい住宅の公共性は高い!」と言います。
生存のために住まいは重要なのに家賃が高すぎです。
公営住宅を作るということが
世界的に止まっていて、住宅づくりは民営化されていますが
今こそ公営住宅が必要です。
しかし東京都ではなまじ財源があるばかりに
50年前に決めた都市道路計画を進めているそうです。
今必要な政策を本気でやれているか?
たとえば「脱カーボン」は言葉ばかりになっていると。
本気でやるには文化を変えないといけないです。
「脱カーボン」を中心に地域社会を構想しなければなりません。
岸本氏は
「気候問題のような大きな問題こそ自治体が取り組むべき」と言います。
「地球と人をケアする人をケアする。」
具体的な経済政策、雇用の可能性を示して
これまで圧縮されてきたケアワーカー(殆どが女性)をケアして
ちゃんと賃金を十分に払うようにしなければなりません。
もう大規模改発やトリクルダウンに期待できないです。
しかし労働中心の社会なら二酸化炭素は出ません。
地域経済を民主化していかねばなりません。
民営化ではなく民主化
企業はどうしても利益を求めなくてはなりません。
公営ならば市場を介さないで経験や技術を共有できます。
お金を払ってお任せするのが「民営化」で
行政職員が一緒に地域の業者と街づくりをするのが「民主化」だそうです。
岸本氏はとても情熱的で伝えたいことが沢山ありすぎる!という感じでした。
本気でやることやっている人の持っている熱意だと思います。
イキイキとして勢いがあって、受講している側もドキドキして
喝を入れられたような気がしました。