「この国のガンにかかっている。それに対して私たちはどうするのか」
今夜のニュース番組の報道で、思わず絶句した。
やはり駄目だったのか。
それにしても残念でたまらない。
ひとつの時代の象徴が、またひとつ消滅したような気分。
文化・芸術・スポーツも愛するという、バランスのよい反骨の報道人。
今あらためて「かっこいいジャーナリスト」だったなぁと思う。
そして「筑紫哲也」という大きな看板があるからこそ、報道できたことが沢山あったと思う。
今や新聞やTVで取り上げられない課題や事件が多いなか、
個々のニュースの真相に迫る取材と報道にこだわる番組が、
今後もきちんと継続されるのだろうか、心配だ。
筑紫哲也さんは、ジャーナリストとしての原則を守りながら、
偏向ではなく、ぶれない軸を常に提示できる人であったと思う。
さまざまな圧力に対しても、彼の活動実績と蓄積があればこそ跳ね返せたのだろう。
この生きづらい時代だからこそ、彼の存在は貴重だったのに。
ひとつ、またひとつと灯りが消えていくような寂しさを感じる。
残された者には、責任の重さだけがのしかかってくる。
心からご冥福を祈るとともに、残された者たちが何をなすべきか、
その分かりすぎる使命を実直にまっとうしたい、と思う。
あせらず、気負わず、でも絶対に飲み込まれないで、
ぶれずに真っすぐ進んでいくしかない。