あっという間に旅も5日目。いよいよドイツ公演当日(6/5)の朝を迎えた友川カズキ。前回、「最終回」とアナウンスしましたが、振り返ればこの日はなんだかんだと盛りだくさんでしたので、前後編2回に分けて報告することにいたします。


本人が最も懸念を抱いていた「食」の問題も特になく(今回は「無駄な抵抗はしません」とあえて醤油は持参しませんでした)、JoiさんとStefanさんのおかげでたっぷり睡眠もとれ、意外なほど好コンディションな友川さん。曇天でしたが、小鳥のさえずりが耳に心地よい朝でした。
何気に毎朝きっかり7時には目を覚ます友川さん。ほぼ同時に起きたスタッフと目覚めの一服を嗜むため、お外へ出ようとドアを開けると…。

 

 

 

 

 


「出たーッ!」って感じ。この頭髪、このフォルム、この微笑。奴です。

まるで我々の行動を見透かし待ち構えていたかのようにドアの向こうに突っ立っていたのは、他でもないフランスの友川原理主義者・レオナルド氏!
「…レオナルドぉっ!?」友川さんはドアノブに手をかけたまま彼の名を絶叫します。「トモカ~ワ!」とニヤけるレオナルド。
Joiさんから「奴が来る」とは聞いていましたが、まさかこんな朝っぱらからこんな形で遭遇するとは。ニヤニヤしながら早速何事かをまくし立てるレオナルド。その機先を制するように早速ハグを交わす友川さん。抱きしめる友川さんの顔がやや引きつっていたのは、このだけの話。

 

 

 

 

 

 

とにかく人懐こい笑顔と恰幅の良さは相変わらず(4年前にイギリスで会った時よりも、心なしか「無職感」はグレードアップしてましたが)。どうやらパリからバスでやって来たらしく、夜中にレバークーゼンの街に到着、ライブ会場の近くで寝袋にくるまって夜を明かしたとのこと。ここまで来るのにだいぶ難儀したようです。
それなのに。この乱れ咲いた季節外れの朝顔のようなテンション。早速おしゃべりが止まりません。

そしてここで驚くべき事実が明らかになります。

そう、彼は「レオナルド」ではなかったのです。

どういうことか? 大関マネージャーが問いただしたところ、実は彼の本当のお名前は「リオネル(Lionel)」さんだったのです。私たちはこの4年間なんの疑問も抱くことなくずっと「レオナルド」と呼んできましたが(『独白録』にも言及があります)、微妙に間違っていたことが判明しました。つーか、前に会った時は「レオナルド~」って呼んでも普通に「なんだ~い?」って感じで応えてくれてたんですが。

 

 

 

 

 


放っておくとずーっとしゃべってそうなので、レオナルド改めリオネル氏を室内に招き入れ一緒に朝食を摂ることに。
今朝はJoiさんがシンプルながら美味しい朝食を準備してくれました。ふっくらしたパンとコーヒーに皆で舌鼓をうちます。

生粋のパリジャンであるリオネルさんはパンを頬張りつつ「うーん、これも美味しいけどパリの朝食はもっと…」ってな感じでぶつくさなんか言ってました。

 

 

 

 

 


突如現れた得体の知れない無駄に明るいナショナリストの饒舌に、真摯に耳を傾けるJoiさん。彼の誠実さと優しさが伝わってきます。そしてリオネルさんのハ○は4年前よりも確かに進行していました。

 

 

 

 

 

 

 

 

こぢんまりしたキッチンに間断なく響く陽気なおっさんの声。友川さんは「リオネル、トライ!トライ!」と言って麺で珍客の口を無理やり塞ぐ作戦に出ます。キングサイズのカップヌードルがとても似合うリオネル。しかし、こんな形でカップヌードルが役に立つとは。友川さんの先を読む眼の鋭さに脱帽です。

 

 

 

 

 


ゆっくりと朝食をいただいた後、午前中の空き時間を利用して近隣の都市ケルンに出かけてみようということになりました。もちろんリオネルさんも同行。オプラーゼン駅のホームでまるで遠足当日の小学生のごとくはしゃぐリオネルさん。憧れの友川さんと4年ぶりに一緒に行動できる!ということで、お気持ちは高ぶる一方だったのでしょう。

そして引率の教頭先生のような友川さん。

 

 

 

 

 

 


なかなかやって来ない電車を待ちながら何かを思案する友川さん。頭の中を駆け巡るのは、今夜のセットリストのことか、帰国後の競輪のことか、はたまたリオネルさん対策か。

 

 

 

 

 


ケルン中央駅を出た瞬間、眼に飛び込んで来た巨大な建築物。ケルン大聖堂です。友川さんは「ほぉ~、でっかいねぇ~」と、しかしそれほど驚いた様子でもなく呟きます。空高くそびえたつ大聖堂を見上げ、テンション上がり気味の同行スタッフ(全員田舎者)を尻目に、「ちょっと一服します」と行ってタバコに火をつける友川さん。

 

 

 

 

 


さて、どこに友川さんがいるでしょう?
すぐにわかると思いますが、見事に風景に溶け込んでいますね。

 

 

 

 

 


「なんか、めまいがしそう」ということで、大聖堂の中は見学せずに、すぐ隣にあるルートヴィヒ美術館へ。ヨーロッパ最大級といわれるパブロ・ピカソのコレクションで有名な美術館です。一行のお目当てはココでした。

ふだん、いわゆる観光にはあまり興味のない友川さんも美術館となれば別。いつもは誰よりも足早に鑑賞する友川さんですが、広い空間に展示された名品の数々に圧倒された様子。特に近代絵画のコーナーでは何度も足を止めて作品に見入っていました。

「質量の違いだよね。スケールがぜんぜん違う。これだけあると全部観るだけでもそうとう体力が要るね」と友川さん。やはりピカソの作品群には特に感じるものがあったようで、「いやぁ、モノが違う。眼にモノ見せられたよ、やっぱり凄い」と嘆息していました。

 

 

 

 

 

 

名だたる絵画を眼でたらふく味わった後は、駅前の屋台でフランクフルトを衝動的に買い食い。
「そうそう、こういうわかりやすいやつが食べたかったのよ」と極太ソーセージにかぶりつく。「うーん、確かに美味いけど、ちょっと大味だな。パンはモサモサしてて美味くないね。あと、マスタードが酸っぱすぎるね」と(もちろん日本語で)正直に語る友川さん。

 

 

 

 

 


帰りの電車にて。「台風の目は意外と静か」ということで、あえてリオネルの懐に飛び込んだ友川さん。有無を言わさず愛用のハットをリオネルにかぶらせ、肩にもたれかかってたぬき寝入り。するとリオネルさん、明らかに口数が激減!
「こういう攻撃型タイプの人間ってね、逆に攻められると弱いんですよ」と、ここでも勝負師・友川カズキの読みが冴え渡る結果に。

 


というわけで、歌う前から色んなことがあったドイツ編。次回は本当に最終回。ドイツ公演本編前後の模様をレポートします。新たな未知との遭遇にあふれた打ち上げの様子もたっぷりと…(リオネルさん級の大立者が登場!)。更新をお楽しみに~。