１年前、学校へ登校しても教室に入れない児童がいました。
朝は母親か祖母の車で送ってもらい、
車から降りても校舎に入ることができないことも。
この学校には「相談室」がないので
「会議室」に彼の居場所を作っていました。
他の子どもたちの目を気にして
クラスの子が呼びに来ても、断ってしまう。
一人で「会議室」で過ごす彼に課題を与えても、それに取り組むこともできませんでした。
この学校には、そんな彼の行動を否定することなく付き合ってくれる先生がいました。
本当はみんなと一緒に活動したいけれど、それがうまくできない彼の状況を理解し、自分の仕事を後回しにして友だちのように遊んでくれた教務の先生。
学習に取り組むことができない彼の状況を受け入れ、散歩に付き合い、一緒にトカゲを捕まえてくれた支援の先生。
彼の愚痴を聞き、話し相手になってくれた指導助手の先生。
彼のやる気を引き出し、学習支援をしながら彼の居場所を作ってくれた特別支援学級の先生。
いつ彼が学級に入ってきても大丈夫なクラス環境を作り、母親との交換日記のような連絡帳のやりとりを続けてくれた担任の先生。
図書室の掲示物作成のお手伝いをさせてくれた司書の先生。
廊下や職員室でやさしく声をかけてくれた事務の先生、用務員さん。
学校生活のいろんな場面で、彼を見守り、時には温かい声をかけてくれた多くの先生。
彼の成長のために必要な環境を整えることを進めてくださった校長先生、教頭先生。
息子のために時間を作って、学校へ相談に足を運んでくださったお母さん。
１年たった今春。
彼は通学班の班長になり、毎朝班旗を持って先頭を歩いて登校しています。学級に入ることにも積極的になり、ノートをとったり、授業中に挙手をして発表する姿も見られるようになりました。
立派な６年生の決意も書きました。
やさしく新１年生の面倒を見ています。
１年前にできなかったいろんなことが、できるようになりました。
そんな彼の成長ぶりを、毎日近くで見ることができる私はとても幸せです。環境が整えば、子どもたちはぐんぐん成長していきます。
それを教えてくれた彼に「ありがとう」の気持ちでいます。
そして、子どもたちの成長のための環境を整えることに協力してくださるすばらしい学校職員のみなさんと一緒に過ごせるうれしい日々を送っています。