さて、前回の続き・・・。
銀行取引約定書に記載されている「期限の利益喪失事項」について
書いてみたいと思います。
そもそも、「期限の利益」って何なのか?
期限が定められていることによって
債務者が受ける利益
を言います。
例えば、借金の返済期限が設定されている場合、
債務者はその返済期限が到来するまでは返済する義務はなく、
返済を求められることもない。
という事なんです。
ですから、毎月の元金返済と利息の支払いをきっちりやっている限り、
最終弁済期限までは、「残りのお金、一括で返して欲しい」
と言われる事はありません。
ただ、これにも例外事項がありまして、
それが、期限の利益「喪失」事項です。
では、この例外事項にはどんなものがあるのか・・・。
これは2パターンあります。
ひとつは、一定の自由に該当した場合、当然に期限の利益を喪失する
「当然喪失事由」。
もうひとつは、一定の事由が生じた場合、債権者の請求によって
期限の利益を喪失する「請求喪失事由」。
以上の2パターンあります。
簡単に纏めると・・・
①当然喪失事由
・破産、会社更生手続開始、会社整理開始の申し立てがあった時
・取引停止処分(俗に言う「不渡り」)を受けた時
・差押え命令の通知が届いた時
・所在が不明になった時
②請求喪失事由
・債務の履行遅滞
・担保目的物の差押え、競売手続きの開始
・取引約定違反
・債権保全が必要だと判断した時
この「期限の利益喪失事項」は本当に良く出来てるなぁと思って読んでました。
①の当然喪失事由はさることながら、②の請求喪失事由の最後、
「債権保全が必要だと(金融機関が)判断した」場合、期限の利益を喪失する
訳ですから、極論で言えば「金融機関の都合でどうにでもなる」という事です。
でも、普通は、期限の利益喪失事由に該当するような事があっても
都度相談していれば、対応を考えてくれますので、先ずは相談する事です。
相談せず放置。金融機関を怒らせると、「期限の利益喪失事項」という武器を
使って攻撃してくるという事です。
税金滞納での預金口座や担保不動産の差押え
転居による郵便物付不着
些細な事でも、期限の利益喪失事由に該当するので、
一応は気をつけておいた方が良いですよ。
次回は、また営業活動の話に戻ります・・・。