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草野天平の詩集、ひとつの道より「自序/宇宙の中の一つの点/一人/独り坐つて/簡素/春の海の雨」を朗読しました。
🌿草野天平(くさのてんぺい)は、昭和時代の詩人(1910-1952)
明治43年2月28日生まれ、東京出身。草野心平の弟。32歳ごろから詩作にはいる。
高村光太郎に傾倒し、詩集「ひとつの道」など、ストイックで求道的な作品を発表した。
昭和25年から比叡(ひえい)山の僧庵にすみ、27年4月25日死去。42歳。
33年「定本草野天平詩集」が刊行された(34年高村光太郎賞)。
●テキスト/青空文庫(青空文庫、耕作員の皆様に心より感謝し使用させていただきます)
●人物出典/コトバンクより一部参照
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ひとつの道
自序

自分は自分の道を一歩一歩行つたつもりでありました
しかし或る時は立ち止り或る時は振り返つて逆に二三歩あるいて仕舞つたことがあります
二つのうち一つを断ち切つて喋らずに進むことの出来なかつた者であります
しかしこれで精一杯でもありました
赦してもらひたく思ひますが、誰に向つて言ふのか
結局自分自身そして為すことに言ふより仕方ありません


宇宙の中の一つの点

人は死んでゆく
また生れ
また働いて
死んでゆく
やがて自分も死ぬだらう
何も悲しむことはない
力むこともない
ただ此処に
ぽつんとゐればいいのだ

一人

見ても誰もゐない
本を伏せる
家を出て山を見れば
山はやはり山

独り坐つて

生きたいのですと言へば
さうですかと言つて
死にたいのですと言へば
さうですかと言つて
暖く何処にもゐて
冷く何処にもゐない
空気のやうになりたいと思ふ

簡素

簡素とは
家も食べ物も着る物も簡単なことであります
塵を含まず
何時も開き放たれ
富や世などに引かるる人を
笑ひもせず
また
怒りもしないことであります

春の海の雨

柔かな雨はふつて
砂をしめらしてゆく
向ふの松はしだいに薄らいで
なくなつた
今はなにの音もなく
すくない波は
渚までくるが
そのまま帰らない

底本:「定本 草野天平全詩集」彌生書房
   1969(昭和44)年4月25日初版発行
   1974(昭和49)年9月20日二版発行
底本の親本:「ひとつの道」十字屋書店
   1947(昭和22)年10月
入力:大久保ゆう
校正:Juki