こちらもupされました。

すこしナレーションをしておりますので、聴いて頂けたら嬉しいです。

スパイスピリリが癖になる、夢野 久作の作品より「森の神/電信柱と黒雲」を朗読しました。
●テキスト/青空文庫(青空文庫、耕作員の皆様に心より感謝し使用させていただきます)
●人物について/出典フリー百科事典ウィキペディア
●曲/甘茶の音楽工房 
●アーティスト/甘茶
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●声/動画編集/サムネ作成/こいでともか
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「森の神」
 森の神様が砂原を旅する人々のために木や竹を生やして、真青に茂りました。その真中に清い泉を湧かして渇いた人々に飲ましてやりました。すると大勢の人がやって来て木の下へ家を立て並べて森のまわりに柵をして、中へ休みに入る人からお金を取りました。水を飲む人からはその上に又お金を取りました。
 森の神様はこんな意地の悪い人々を憎んで、森を枯らして泉を涸らしてしまいました。
 旅人からお金を取った人々は大層困って「何という意地の悪い神様だろう」と、森の神様を怨みました。
 森の神様は言いました。
「私はお前たちのためにこの森をこしらえたのではない。旅人のためにこしらえたのだ」

「電信柱と黒雲」
 電信柱が寒い風にあたってピーピーと泣いておりました。
 黒い雲が来て、
「何を泣いているのだえ」
「寒いからさ。お前のような雲が来るから寒いのだ。こちらへ来ないでくれ」
「おれが悪いのじゃない。風がわるいのだ。おれは風につれられて来るのだから」
「おれは黒いものが大嫌いだ。この間も鴉がとまって、アホーアホーとおれを笑った」
「それじゃこれはどうだ」
 と言ううちに白い雪をチラチラと降らしました。
 電柱はだまってしまいました。

底本:「夢野久作全集7」三一書房
   1970(昭和45)年1月31日第1版第1刷発行
   1992(平成4)年2月29日第1版第12刷発行
初出:「九州日報」
   1923(大正12)年11月9日
※底本の解題によれば、初出時の署名は「香倶土三鳥」です。
入力:川山隆
校正:土屋隆

🌿夢野 久作(ゆめの きゅうさく 1889年(明治22年)1月4日 - 1936年(昭和11年)3月11日)は、日本の小説家、禅僧、陸軍少尉、郵便局長。幼名は直樹(なほき)、出家名は杉山泰道(すぎやまやすみち)、禅僧としての名は雲水(うんすい)、雅号は萠圓、柳号は三八。現在では、夢久、夢Qなどと呼ばれることもある。
夢野久作の筆名は、昔の福岡地方の方言で、夢想家、夢ばかり見る人、という意味を持つ。

🌿三大奇書の一つ『ドグラ・マグラ』をはじめ、ホラー、怪奇色、幻想性の色濃い作風で名高い。初期には『九州日報』で童話や今でいう一コマ漫画もかいた。詩や短歌に長け、『白髪小僧』中の神話、『猟奇歌』のなどに代表される。

🌿父は政界の黒幕と呼ばれた玄洋社系の国家主義者、杉山茂丸。長男はインド緑化の父と言われる杉山龍丸。三男は童話作家の杉山参緑。「夢野久作と杉山三代研究会」の杉山満丸は孫。
1936年(昭和11年)3月11日脳溢血で死亡、享年47。