2011年4月7日。
ブリスベン空港に初めて降りたったのはおよそ12ヶ月前のこと。
あの時の私に、いまの自分が想像できただろうか。
オーストラリアへ来る前の私は、悲しい出来事を忘れる為に、心を鈍感にしようとしていた。
何も感じない事で身を守れるとさえ信じていた。
そうするあまり余計な手枷足枷まで自身にあつらえ、その重さに耐えきれず慌てて逃げ出したのだ。
自分から逃げ、自分を知るひとたちから逃げ。
それでも、独りになればなるほど人を求めているし、人を頼りにしている。
旅に出て一年。
自分自身と、目の前にいる人と、ちゃんと向き合えるようになった気がする。
ーここは、こんなに綺麗な空港だったのか…
ブリスベン空港のなか、彼の手をひきカフェをのぞきにゆく。
1年ぶりの帰国。
先月、日本で起きた大津波と原発事故はもちろんこの国でも連日報じられ、私が帰国することを告げるとみな心配した。
家は西日本だから無事なのだと説明したが、なにせ地図上の小さな島国のこと。
みな、あまりピンとこない様子であった。
昨夜はブレットやサニーたちとチャイニーズレストランへゆき、シェアメイトとして最後の夕食を共にしたあと別れのハグをした。
夕食後カンガルーポイントの安宿に泊をとり、早朝タクシーでここへ到着した私と彼はすでに空腹であった。
カフェオレとサンドイッチを買い、椅子に座る。
“Come back soon”
“I will”
“We'll be together, Promise me”
“Promise”
私と出逢うために、オーストラリアへ導かれたのだと彼はいう。
神様が決めていたのだと。
彼のいう神様のことを私はよく知らないが、こうして惹かれ合い一緒にいられるのだから私もその神に感謝すべきだろう。
彼は、なみだ脆い。
私が泣くと彼も泣くし、私が泣かなくても彼は泣く。
しかしきっと、私は彼に救われている。
泣きじゃくる彼を見ていると、強がりも不安も迷いも消え失せてしまうからだ。
よくもまあそんなに涙が出るものだと冷静になり、可笑しくなってくる。
とつぜん彼は私を睨みつけこういった。
“Why are you laughing?”
せつない表情をしているつもりだったのだが、どうやら私の顔はにやけていたらしい。
ハンカチを手渡しながら、私は彼との再会をかたく心に誓っていた。
英語で、「現在」のことを “ Present ” と言う。
そう、「贈り物」を意味するプレゼントと同じ綴りだ。
それを知った時に、とても不思議に感じたのを覚えている。
語学学校の先生に聞いても、「現在」と「贈り物」が同じ単語である由来は知らないと言っていた。
だから、私なりの解釈で言えば。
過去のすべては、今日この瞬間の為に起きた出来事である。
自分で選び取り進んできた過去の延長にありながら、また新しい未来を切り開いていける希望を抱いている。
それが、「今現在」なのだ。
今現在ここにこうして居られる、それは過去からの贈り物であり、そしてこの瞬間もまた、未来の私達への贈り物に繋がってゆくのだろう。
つづく
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