ハロウィンナイト
この夜、出かけるまえに酔いつぶれてしまったサニー。
ブレットは彼女を介抱するためアパートにのこった。
せっかくハロウィン用に厚化粧した私とニタは、二人だけでニタの友達が集まっているクラブへ行くことにした。
しかしゴールドコーストとは違い、もうバスは一本も走っていない時間だ。
タクシー代をケチろうと、私たちはヒッチハイクをはじめた。
酔っぱらいは恐ろしい行動にでるものだ。
オーストラリアの治安は比較的よいとされているが、真夜中は別である。
そんな危険も無視し、大通りで親指をふりつづけること数分。
タクシー数台をのぞいて、ようやく乗用車が私たちの前で停車した。
同じような赤い車が二台。
中の黒い人影をかぞえれば、ニ台ともすでに定員オーバーのようだった。
しかし、それぞれの車に私たちをひとりずつねじ込み車は出発した。
しばらく走ると車は目的地を通りすぎ、別の場所へ行こうとしていた。
すると、それを見ていたもう一台が追いかけてきたので、しぶしぶ路肩に停車する事になった。
車から降りたニタと、私が乗っていた車を運転していた人とがいい争っている。
よくみれば、南アジア系の男たちが総勢十名。
みな “R” の発音がきつく、早口だった。
それにも負けず流暢な英語で抗議しているニタ。
格好いいなあ…などと感心していると、ひとりの男が背後から私の両肩を掴み、無理やり振り向かせるとこう言った。
“ Give me your number! ”
(番号おしえて!)
街灯もなく、その顔は暗くてよく見えなかった。
他のひとたちも暇そうな私のまわりに集まり、なんだかんだと話しかけてくる。
Where are you from?
What are you doing?
How old are you?
私が日本人だと知ると彼らはさらに盛り上がり、私の肩を掴んだ男は刀を振りおろす真似をしながら、
“ SAMURAI SUSHI GIRL!! ”
(サムライ スシ ガール!!)
と、陽気に叫んでいる。
なんだか友だちになれそうだなどと思い、番号交換してしまった。
一緒に僕たちのパーティに合流しようよ としつこく誘われたがそれは断った。
私たちの目指す場所へさっさと送ってくれと頼むと、彼は運転していた友人を説得し私とニタを午前0時過ぎ無事に目的地へ送りとどけてくれた。
ハロウィンダンスパーティを存分に楽しんだあと帰りのタクシーのなかで、
“ 南アジアの男は恐いね ”
とニタは顔をしかめ、
“ ヒッチハイクはもう懲り懲り ” と苦笑した。
つづく
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