オーストラリア旅行記ブリスベン春⑦ | ともみと髭マンとガガ

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〜アラサー女子ついに「幸せ」と出会った オーストラリア クイーンズランドで過ごした一年間〜

    ハロウィンナイト

 この夜、出かけるまえに酔いつぶれてしまったサニー。

    ブレットは彼女を介抱するためアパートにのこった。

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    せっかくハロウィン用に厚化粧した私とニタは、二人だけでニタの友達が集まっているクラブへ行くことにした。

   しかしゴールドコーストとは違い、もうバスは一本も走っていない時間だ。

   タクシー代をケチろうと、私たちはヒッチハイクをはじめた。

   酔っぱらいは恐ろしい行動にでるものだ。

   オーストラリアの治安は比較的よいとされているが、真夜中は別である。

   そんな危険も無視し、大通りで親指をふりつづけること数分。

   タクシー数台をのぞいて、ようやく乗用車が私たちの前で停車した。

   同じような赤い車が二台。

   中の黒い人影をかぞえれば、ニ台ともすでに定員オーバーのようだった。

  しかし、それぞれの車に私たちをひとりずつねじ込み車は出発した。

   しばらく走ると車は目的地を通りすぎ、別の場所へ行こうとしていた。

   すると、それを見ていたもう一台が追いかけてきたので、しぶしぶ路肩に停車する事になった。

   車から降りたニタと、私が乗っていた車を運転していた人とがいい争っている。

   よくみれば、南アジア系の男たちが総勢十名。

   みな “R” の発音がきつく、早口だった。

   それにも負けず流暢な英語で抗議しているニタ。

   格好いいなあ…などと感心していると、ひとりの男が背後から私の両肩を掴み、無理やり振り向かせるとこう言った。



   “ Give me your number!
    (番号おしえて!)


   街灯もなく、その顔は暗くてよく見えなかった。

   他のひとたちも暇そうな私のまわりに集まり、なんだかんだと話しかけてくる。

   Where are you from?
   What are you doing?
   How old are you?

   私が日本人だと知ると彼らはさらに盛り上がり、私の肩を掴んだ男は刀を振りおろす真似をしながら、


   “ SAMURAI SUSHI GIRL!!  ”
  (サムライ スシ ガール!!)

   と、陽気に叫んでいる。

   なんだか友だちになれそうだなどと思い、番号交換してしまった。

   一緒に僕たちのパーティに合流しようよ  としつこく誘われたがそれは断った。

   私たちの目指す場所へさっさと送ってくれと頼むと、彼は運転していた友人を説得し私とニタを午前0時過ぎ無事に目的地へ送りとどけてくれた。

   ハロウィンダンスパーティを存分に楽しんだあと帰りのタクシーのなかで、

   “ 南アジアの男は恐いね ”

    とニタは顔をしかめ、

   “ ヒッチハイクはもう懲り懲り ” と苦笑した。



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つづく



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