最初で最後のヘボイ奴 | ともげん伝説

最初で最後のヘボイ奴

 あれは確か20歳ぐらいの時だったか、地元のマクドに行った時の話しだ。
フィレオフィッシュセットを注文し二階席へ行った。
するとそこに中学の時の一個下の女が彼氏らしき人物といた。俺が『おお!久しぶり!』と声をかけたら、『誰?』と言うような顔をしていたのでもう一度『おお!』と言った。
するとむこうは『あぁ』と言う感じだった。
少し離れた場所に座っていたら、なにやら彼氏にものすごく怒られているようだった。
喧嘩してるのかな?と気にする事なく食べて店を出た。
それから一週間ぐらいたった時の事だった。
俺はミナミにあるドンフレックスと言うクラブで女の子達といやらしい事をしていた。
すると知らない番号から電話がかかってきて『もしもし』とでると、『ともげんやんな?』といきなり言ってきたから『そうやけど誰?』と言うと、『今度イベント出てほしいから今から尼体きてくれへん?』と言う。
尼体と言うのは近所の尼崎総合体育館の事だ。
おかしいなと思った俺は『誰なん?まず名前を名乗れや!』『とりあえずきてや』『おかしいやんけ!イベント呼びたかったらまず名前言うやろ!』とこんなやりとりが続いた。
それでも名前を言わず『とりあえず尼体来い』としか言わない。
だんだんイライラしてきた俺は『なんで俺が行かなあかんねん!お前が来いや!俺今ミナミおるから三角公園までこい!』『ついたら電話してこい。行ったるわ』と言うとわかったといって本当に三角公園までやってきた。
電話がかかってきて先輩や友達が一緒に行ったるわと言ってくれたが『大丈夫一人で行ってくるわ』と言って三角公園に行った。
するとするとそこには15~20人ぐらいの男がいた。そして俺は一目のつかない駐車場に連れていかれた。
一人のリーダー的なギャルオが『お前こないだマクドおったやろ!そん時におった俺や』と言った瞬間、あの子の彼氏だとわかった。
『ほんでなんの用なん?』と訪ねると、『お前俺の女に話しかけたやろ?』とえらい怒ってやがる。
『それがそんなにあかんの?知ってるからおおって言っただけやん。お前知ってるやつおったらおおって言うやろ?』

『あん時俺は機嫌悪かったんじゃ!』

『知りませんやんそんな事』『そんなに自分の彼女に話しかけてほしくないんやったらもう話しかけへんし。ごめんな。知らんかったし。もういい?』

ここで一発パンチをくらったが全然痛くなかった。まさしくハエが止まったようなパンチだった。
人に殴られる時ってのは実際にパンチが入っただけではそんなに痛みを感じない。
相手がとても恐ろしい時のパンチはむちゃくちゃ痛くて、『すんませんでしたー!』とおもわず言ってしまうが、こいつの場合理由がヘボすぎて、例え20人いようが全然恐くなくて痛くない。
不思議だが本当だ。
そして俺はこう言ってやった。『そんなん喧嘩する事ちゃうやろ?もう話しかけへんしそれでええやん』。
そして一緒に来ていた奴らにもこう言った。
『お前らもなんやねん!こんな理由でよう20人もついてきたの!お前ら絶対何年後かに自分のヘボさしるからな!』。
それでも許そうとしないギャルオは、『お前の為にこいつら全員きとんねん!ガソリン代一人5000円払え!』

『えっ!お前らわざわざ一人一代車乗ってきたん?そらごくろうさん。なんで払わなあかんねん!お前らアホやろ!』『もうええわ!なぐるんやったら早く殴ってくれへん!』『俺今女の子達と楽しくやってる最中やねん』と言ってそこに座り込んだ。
すると『歯食いしばれよ』と言ってきた。
『そんなんええからはよせぇや!っしょーもない!』と言ってその後ボコボコにやられたがぜんっぜんっ痛くない。
そしてある一発で俺の顔から血が出た。そのキズは今も残っている。
血が出たと思ったらギャルオはもうええわと言った。
『ほな俺行くわ』と俺が言ったらギャルオは
、更にヘボさを決定づける発言をした。
『お前今からどこいくねん?』『そんな顔で歩いとったら警察になんか言われてお前言うやろ!』

『ゆわへんわ!っしょーもない!』

『お前が行くとこまで送ったるわ』

『は!?ええわ!』

と言ってその場をあとにしたがドンフレックスまでずーっとついてきた。
俺は無視してクラブに戻るとそこはまさに天国だった。
女の子達が『ともげんどうしたん?大丈夫?』とみんな心配してくれた。
天使のようだった。
その後その時いた一番カワイイ女の子が氷をもらってきてくれて、冷やしてくれようとしたが、俺は『そんなんじゃ治らへん。』『痛い痛い!』『あーこれはチューしてくれないと治らへん」と甘えてみた。
するとその子は俺の口にチューしてくれた。
嬉しくなった俺は『あー、まだ痛いわ。もう一回してくれないとやばいわー」といったが『こーらっ!』と言ってオデコを人差し指でつつかれた。

それにしてもあれほどにヘボい奴は今まで会った事もないし、もう二度と現れないだろう。
そして今頃『俺あほやったなー』と心の中で後悔しているだろう。