平成30年11月9日(金)、「平成」という元号で最後の「第50回」という記念の社労士試験合格発表がありました。

 

⑴受験申込者数:49,582人(前年49,902人、対前年0.6%減)

⑵受験者数:38,427人(前年38,685人、対前年0.7%減)

⑶受験率:77.5%(前年77.5%)

⑷合格者数:2,413人(前年2,613人)

⑸合格率:6.3%(前年6.8%)

⑹合格基準点:選択式は23点以上(社一と国民年金法で2点救済あり)、

択一式は45点以上(救済なし)

 

【1】合格された受験生の方へ

まずは、合格された受験生の方、おめでとうございます。

これまでは、クリスマス、年末年始、GW、お盆休みと、すべて受験勉強で潰れていたことと思います。

でも、これからは、ある程度自由な時間が作れます。長年受験勉強をなさってきた方にとっては、お盆休みの感覚を忘れてしまっているかもしれませんね(笑)

しばらくは、ゆっくり喜びに浸ってください。

 

ただ、社労士試験の受験勉強を通して痛いほど分かっているとは思いますが、社労士業務は細かな法改正が多いのです。今年(平成30年)の受験申込から合格発表までの半年ほどで、もうすでに法改正されたものもあります。

労働安全衛生法、労災保険法、雇用保険法、健康保険法、そして、今まさに旬の「働き方改革関連法」などが、そうですよね。また、「雇用対策法」なんて題名の法律はなくなっています(平成30年7月6日をもって、改称され、中身も変わっています)。

また、実務運用と法律の規定がまったく異なることも少なくありません。

 

働き方改革関連法」は、8本の法律を一括して改正しようとするものです。その8つの法律を、略称でかまわないので、言えますか?

 

ですから、これからも勉強を続けていただき、社会保険労務士という資格に磨きをかけてください。合格した資格を錆びさせてしまったら、受験勉強をしていた時間があまりにもったいないだけではなく(人生を無駄に過ごしただけではなく)、社会保険労務士という資格の信用を失墜させることにもなります。どうぞ、幅広く勉強なさってください。

 

【2】合格に届かなかった受験生の方へ

睡眠時間を削って一生懸命勉強してきたし、演習問題を何百問も解いてきた…、でも、合格に手が届かなかった。

悔しいだろうと思います。いえ、私も本当に悔しいです。

だって、合格率も5%を切るようでしたら波乱が生じたかもしれませんが、6.3%です。しっかり勉強していたら、必ず合格できるはずの合格率です。

今から振り返ってみれば、ケアレスミスがなければ、確かに合格点を取れたはずだという受験生は少なくないでしょう。

平成最後の、しかも第50回という節目の社労士試験合格を逃してしまったのですから、悔しくないはずがありません。

 

これで、社労士試験とは永遠の別れだという方もいるかと思います。

人生はいろいろな選択肢があります。社労士試験だけが人生ではありません。世界は十分に広いのです。

次は、別の世界で頑張ってください。

 

さて、来年は改元されて初めての社労士試験です。

来年が再チャレンジという受験生の方は、堂々と合格してみせようではありませんか!

そのためには、今の悔しさを絶対に忘れないことです。


悔しさは、合格のための原動力になります!


選択式のたった1問に救済がなかった。なぜ他の受験生は解けたのか?

択一式が44点で、合格にわずか1点だけ足りなかった。それはどの問題だろう?


勝ちに不思議の勝ちあり、負けに不思議の負けなし」です。

 

必ず合格できなかった原因を突き止めてください!

そして、その弱点を克服できる方法を必ず見つけてください!

 

来年合格できないと、その次の年は東京オリンピック・パラリンピックが待っています。

ですから、前向きに正しく焦ってください!

私が受験生だとしたら、来年合格できないとラグビーワールドカップが観られない、だから絶対に絶対に頑張ります(笑)

 

【3】労一ないのか?

本試験直後に受講生から受けた報告によると、選択式が易しいというものでした。しかし、本試験の得点状況を見てみると、選択式は昨年より少しだけ難しくなっています。

よくよく報告を確認してみると、ある1科目だけ2点(他の7科目はすべて3点以上)という人が少なくありませんでした。

実は、その2点の科目が救済されるかされないかが合否を分けることが多いので、社労士試験では、よく「救済」と呼ぶのです。

 

結果は、「社一」と「国民年金法」の2科目で救済でした(平均点が最も低いものから順に2科目の救済です)。

ああ、厚生年金保険法で救済待ちの受講生がいたな、健康保険法で救済待ちの受講生がいたな、そんなことを思い出し、私自身、今は悔しくて悔しくてしかたがありません。

ただ、「労一」で救済待ちというのは、覚えがありません(実際はいたのでしょうが…)。

 

確かに、労一選択式は、どんなに難しくても救済されないと言われてきました。

でも、この5年間だけで見てみると、2回も救済されています。今回の問題にしても、まさに一般常識問題であって、救済されるべきものではありません。

ですから、「労一ないのか?という社労士試験独特の迷言は、あまり気にしなくてもよいのではないでしょうか。

 

むしろ、「社労士試験プロパー」の問題以外に、新聞記事やネット記事、厚生労働省や日本年金機構などのHP、あるいは社労士関連の出版社や公的機関のメルマガでも登録して読んでいたほうがよいのです。不思議なことに、社会保険科目の選択式は、日本年金機構の前身である社会保険庁の時代から、旧社会保険事務所に置かれているリーフレットや、HPの中から出題されることが多いのです。

新聞記事やネット記事などで気になる言葉があったら、手間を惜しまず、ネット検索して調べてみる。そういう生活習慣を身につけておくのも、社労士試験対策になりますから…。


・・・ということで、「働き方改革関連法」で改正される8つの法律が言えない受験生は、早速、検索して調べてみてください。

実は、これがさっと覚えられる人は、社労士試験にもさっと合格できます。

★覚えるコツを身につけている受験生は、短期で合格しています。


<追記>

社労士試験とは、だだっ広い砂漠のような二次元の世界を勉強するようなものです。

三次元的な深みなんてありません。社労士試験は選択式も択一式もすべてマークシートで答えるのですから、受験生が本当に理解しているかどうかなんて尋ねられません。尋ねられないことを勉強しても、時間の無駄です。

★重要なことは、正しいマークを塗りつぶすことです。

だって、理解なんてしていたら、合格するまで何年かかるか分かりませんし、仮に理解できたとしても、その頃には法改正によって学習内容がまったく変わっているからです。

本気で1年か2年で短期合格したいのなら、理屈理屈で勉強し過ぎないことです(私は受験生からの質問の内容によって、だいたい合格しそうな受験生と、そうでない受験生が分かります)。

★社労士業務を想像してみれば分かると思いますが、時間内で要領よく問題を解ける力を社労士試験では要求している、と目を覚まして知ることです。