ゴールデンウィーク最終日は予定を入れず、一日家にいることにしていた。ここ最近、連休や長い休みの最終日はなるべくそうしている。体を休めるためでもあるし、休暇から仕事モードに戻るのにゆっくり時間をかけたいからでもある。


朝目が覚めたら、まだ寝たりなく、でも二度寝するには覚醒し過ぎていた。前日実家から戻ってきて久しぶりに自分の布団で眠れたのに、どうしたことか。連休明けはイベントがあって慌ただしくなりそうだから、今から気が張っているのだろうか。


朝のニュース番組は祝日はなんとなく緩めのテーマになる気がする。そうすると自分にとっては退屈な場合もあるので、チャンネルを変えたり、U-NEXTなどの動画配信サービスを利用したりする。


動画配信サービスでよく見るのは、アガサ・クリスティもののドラマである。名探偵ポワロは原作が短編の場合1話が45分におさまるが、長編だったり、ミス・マープルのものは1話90分や45分を2、3回分使う話もある(ミス・マープルも短編はあるが、確かドラマ化されていないと思う)。


とりあえず起き上がったけれど、そのまましゃきっと動き出せる調子ではなかったので、無理せず長編をだらだらと見ることにした。何度も見ていて話の筋はわかっているので、BGMのようにつける感じ。見たければ見るし、用事で中座するときも停止はせず流しっぱなしだ。


心身が不調なときは好きなことをとことんするに限る、と誰かが言っていて同感だ。私の場合は美味しい(ここが大事)コーヒー、トーストやスコーンなどの軽食、そしてミステリーとともに籠もればわりと回復する。ちょうど連休前半に買っておいた美味しいコーヒー豆があるから、まずはそれを淹れる。


江古田に気に入っている珈琲店があって、仕事帰りに寄れるほど近くはないし早めに閉まるので、行くのはいつも休日になる。徒歩で1時間ほどの場所なので、天気のよい日は気分が向くと歩いて帰ってきたりする。このときは店内でケーキと一緒に一杯飲んでから、コロンビアとマンデリンを買ってきた。



ふだんは酸味の強いコーヒーは飲まないが、こちらのお店では別。穏やかな酸味だったり、最初の酸味がすぐに引っ込むようなきれいな味なので、ときどき頼んでいる。自分で淹れるとどうしても同じような酸味にならないから、ここのマスターが淹れてくれるものに限る。

ケーキ類はお連れ合いと思われるもう一人の方が作られているようで、何を食べても美味しい。その日甘いものを既に食べているから今日は控えようと思っていても、メニューを見るとつい頼んでしまう。このときはアールグレイのチーズケーキ。アールグレイとチーズという別々にいただくような取り合わせが、不思議とよく合っている。

ドラマに戻って、この日見たのは『パディントン発4時50分』。ミス・マープルのシリーズでは特に好きな話だ。器用だけれど素直でもある女性の主人公が、ミス・マープルに替わって活躍する。彼女の行動力に刺激され皆が活気づいていく様子が、殺人事件の捜査と並行して描かれる。

トーストにするパンはなかったので、朝食はごはんで済ませ、何杯目かのコーヒーを飲む前にクラッカーを焼く。粉に砂糖と、塩はひとつまみ入れて手でさっとかき混ぜ、オイルを入れたらまたかき混ぜて、牛乳を少したらしてまとめるだけ。オーブンの天板に伸ばして20分くらいでできあがる簡単なものだ。

午後になると体が少し軽くなってきた。でも今日はこのまま家にいることにする。相棒の再放送など見ながら、あっというまに夕方になる。18時からBSイレブンで名探偵ポワロの『エンドハウスの怪事件』がやっていたが、長編はもう十分に見たので、こちらは本当にただつけているだけになった。

ポワロは原作では「小男」ということになっているが、演じるデヴィッド・スーシェはかなり恰幅がよいので、その表現がドラマに出てくるたびに違和感を覚える。

*江古田の珈琲店・・江古田珈琲焙煎所