原発がないと電気が足りなくなるの?
(九州版)
原発がないと電気が無くなってしまうって本当でしょうか?
日本の電力の3割は原発に依存しているって本当でしょうか?
原発が無いと使える電気も3割減ってしまうのでしょうか?
安心して下さい。
原発が無くても、電気はなくなりません。
電気事業連合会統計委員会編『電気事業便覧 平成23年版』(社団法人日本電気協会、2011年)の数字を見て、確認してみましょう。
○日本全国の全発電能力の中における原発の割合
電力10社および卸電気事業者、自家用発電などを積算した、発電設備の最大出力合計は、282,314,553kwです。そのうち、原子力の最大出力合計は、48,960,000kwです(福島第一原発の使用不能の発電所も含んだ数字)。(平成23年3月時点、『便覧』16・17頁)
水力 48,110,996kw
地熱 537,000kw
火力 182,381,114kw
原子力 48,960,000kw
風力 2,293,575kw
太陽光 31,868kw
計 282,314,553kw
原発は、日本の全発電能力の17.34%に過ぎないですね。誰でしょうね?日本の電力の3割から4割は原発に依存しているとか言っている人は。どうしたら、3割から4割という数字が出てくるのでしょうか。
○全発電実績の中における原発の割合
各発電方法で、どれだけ発電できるかはおいといて、実際に発電した電気の割合は、かなり高いようです。 (下の数字は最新の平成22年実績 単位は100万kWh 『便覧』42・43頁)
水力 74,175
地熱 2,469
火力 553,264
原子力 288,230
計 918,236 (太陽光・風力は数値が小さいため細目からは省略)
水力は原発と同等、火力は原発の3倍以上の発電能力を持っていることが、前項の数字から分かると思いますが、実績では、水力は原発の4分の1、火力は原発の倍程度に出力を抑えられています。 火力と水力の発電量が抑えられているために、実際に発電されている電力で、原発由来のものが31.39%になってしまいます。
水力はダムの水の量、火力は定期点検などで常に最大出力にはできないという指摘もありますが、原発でも定期点検や事故による停止は頻繁に起こっているので、大差ありません。よくいるんですよね、原発だけ、火力や水力に比べて安定稼働しているという幻想を抱いている人。火力と水力の稼働率が低いのは、原発を主力に運用しようという方針にもとづき、意図的に稼働率が低く抑えられているのです。水力なんて、燃料無くても発電できるのに、もったいない。
○九州の電力需給
九州電力管内の九州電力、その他の電気事業者、自家用発電を合わせた平成23年3月末現在の発電設備の最大出力積算は28,895,000kw。そのうち原発は5,258,000kwで、全体に占める割合は18.2%(『便覧』20・21頁)。ピーク時の最大需要は平成19年に発生したもので17,494,000kw。
平成19年程度の需要が発生しても、原発抜きの出力(28,895,000kw-5,258,000kw=)23,637,000kwに対して需要が占める割合は、74.01%程度。26%ほどの余力がある計算です。
電力を安定供給するには、十数%の余力があれば大丈夫。比較的原発の割合が大きい九州でも原発なしでも大丈夫なのですから、日本全国でも原発なしでも大丈夫ですよ!
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*街頭配布用パンフとして作った文章を、ブログ記事用に編集し直したものです。
*もともとWordで作ったものですので、配布用に利用したいという方がおられましたら、もとのファイルをお送りします。(ただし拡張子docxの形式)