空                   (drown by 藤村友視) | カウンセラーpecoのブログ

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心理カウンセラーです。
この数年は、緩和ケア領域でのカウンセリングが多いです。
緩和ケアについても、書いていこうと思います。

 

鈍色の雲が街を覆う。

数日までとは、街の音さえ違って聞こえるような、季節の進み方だ。

 

鈍色をわずかに銀に染める、ささやかな陽射が心の隙間に射し込む。

 

「もう会えないんだな・・・。」

 

射し込んだ光がゆらゆらと、面影を運んでくる。

 

寂しさが、忘れたころに吹いてくる。

振り向いても、そこには笑顔はおろか、影ひとつない現実。

聞こえたと思った声は、木枯らしのいたずらだったのか。

 

こんなにも、

逢いたい、と思っていること。

誕生日を祝うメールを送る先に、受け取り手はもういない現実。

 

 

見上げた空は、木蓮の薄い黄色に染まっていた。

 

「ありがとう」

と、聞こえたのは、

空を舞う水鳥の群れの羽音だったのか。

きっと、そうだろう。

 

風が吹いている。

いつだって風は吹いてる、

忘れていても、そうでなくても。

 

風は吹いている。

鳥はまた、羽ばたいている。