石原さとみは可愛い。
霊長類最強女子・吉田沙保里なみに人類最大級にCAWAII女子・石原さとみ。
たぶん素顔も可愛い。頭蓋骨さえカワイイ。そんな破壊力。
でもその石原さとみをもってして、可愛い以外の感情を抱かせるTBS系 金曜10時のドラマ「アンナチュラル」。
今期わたしが一番はまっとるドラマです!!(力説)
感情が盛り上がったときに奏で始める米津さんの切ない主題歌がまたいい。
5話、復讐の刃が振り下ろされたシーン、舞う粉雪がきれいだったなあ。血の決断と潔白と赤と白が対比になっていた。
今までのドラマなら、恋人を亡くした男は犯人を刺せなかった。いや犯人を刺させなかった。
そういったシーンでは手が躊躇したり、誰かが仲裁に入ったりして、それはテレビの方便だったり視聴者への忖度だったり演者への配慮だったり。「ファイナルカット」では自殺を亀梨が止めに入ったように。
でも「アンナチュラル」は刺してしまう。それができてしまう。
そこには石原さとみ扮するミコトの壮絶な心の闇と同じように、人間の心の闇と対峙しよう表現しようとする作品の覚悟がある。
六郎は確実にミコトに惹かれているよね。なぜ惹かれるかも細やかに描かれている。それと同時に何も知らない視聴者が、ミコトに惹かれていくように。
その人の闇を背負えない人は、その人の過去を聞いちゃいけない。
覚悟がないくせに「わかる」とか「大丈夫」とか言ってはいけない。
笑顔の角を曲がったら泣いているにちがいない表情とか受け止めきれないでしょう六郎には。
安易な好きややさしさなんてクソくらえだ―――、
そういう覚悟のようなものが「アンナチュラル」の石原さとみの目には宿っている。
そしてそれが顔に貼り付いているのが、中堂こと井浦新。かつて「蛇とピアス」の怪奇な俳優だったARATAですね。何を考えているかわからない演技をしたら右に出る人はいないかも・・・
二人は同じようにきっと闇を見てきただろうから、似ているよねどこか。
でもなあ。石原さとみはなぜあきらめていないんだろう。
感情は「悪」だ。結果はいつも無情で薄情で、きっとそうわかっているはずのミコトなのにいつもたった一縷(いちる)の希望に懸けているだろう彼女の台詞がとても気になる。
薬師丸ひろ子の育てのお母さんが何か鍵なんだろうか。
ナチュラルメイク、ナチュラルウォーター、ナチュラルライフ。
この世界、自然であることのほうが今や不自然ですら感じるけれど、「アンナチュラル」と言い切っちゃうとすがすがしい。
新聞記者とか怪しい動きの人物も出てきて六郎も奔放されそうだけど、でもたぶんミコトはびくともしないよ。背負った覚悟を見くびっちゃいけない。
傷つきはするけど、芯は変わらないでしょうね。
だってもっと恐ろしい地獄を歩いてきたと思うから。
息苦しい現実社会で水に沈められたミコトが、上澄みの空気を求めて彼女がどう息をつないでこれたのか、中堂を水底から引き上げるのか、そこを見届けたいドラマです。
※個人的雑感です
TBS金曜10時「アンナチュラル」