断面美にため息が出るとんかつをお昼から堪能!
今まで厚みがあるものがおいしいとんかつだと思っていましたが、全然違う!
今までのとんかつの概念をいい意味で裏切ってくれたお店となりました。
とっておきのお店があるからと友人に案内されたのは人形町。
かつて勤めていた町なのでそれなりに界隈を知ってはいるのですが、場所も名前も初めてのお店。よく聞いたら去年の秋にオープンしたとのこと。ワクワク
通りは細い小路でうっかり二度も行き過ぎてしまいました^^; 想像以上に細い脇道ですので、お気をつけくだされ~。
古都の割烹料亭のようなしっぽりとしたたたずまいが、人形町という風情にぴったりはまっています。
お店は 「かつ好(かつよし)」。
看板はなく、目印はこの提灯に書かれた控えめな店名のみ。
「かつ好き」と書いて「かつよし」と読ませるとはなんともうまいなあ・・・とひとしきりうなづく私。
新しいお店かと思いきや、静岡に「水塩土菜」という名前で本店を置き、実は私と同い年の古参(笑)という「かつ好」さん。
食材もその静岡から仕入れていて、厨房の板さんが重鎮の手仕事なのは長くとんかつに向き合ってきた歴史があるからだとわかりました。
なんと! 発売中の雑誌「BRUTUS」8/15号のとんかつ特集にも太鼓判を押して掲載されている本格派なお店でもあります。さすがグルメな友人のオススメ店!!
梁はやはり古材を移築したもので、テーブルはなんと日本酒の酒樽を磨き敷き詰めて作ったもので、当初はかなりお酒の香りがしたのだとか!
独特の品とあたたかさがありますよね。
1階はカウンター6席、こちらは2階でテーブル席12席。
20席弱ですが、特別感のある隠れ家のようなお店です。
私が行ったランチタイムは11時半からラストオーダー14時まで。ディナータイムは夕方17時半に開いて20時半に注文を終えるまで開いています。
ランチもディナーもお品書きを見るとお値段は同じ。だけどお昼は定食のような組み合わせ、夜はとんかつをコースで、というお客さんが多いのだとか。
今回はたくさんで行ったので、いろんなとんかつを食べ比べしてきました!!
参考にしてくださいね^^
注文するとそのつどこんな感じで後ろの冷蔵庫から部位のブロックがドーンと出てきます。
カウンターに座ると、それぞれカットして丁寧に肉叩きで叩かれている音が厨房から漏れ聞こえます。
それはそれは執拗にトントントンとリズミカルに叩かれる音に、私のためのお肉と思うと待ちきれない思い(笑)。
自家製パン粉を振られて、熱伝導のよい真鍮の油鍋2つを温度差で使い、あめ色の油で目の前でゆっくりと二度揚げで仕上げられていきます。発想としては揚げるというよりも、火と熱で蒸すという感覚だそうです。
「油は何かしら?」と思ったら、近くの日本橋にある竹本油脂さんのごま油とコーン油のブレンド。
竹本油脂??とピンとこなかったけど、よく考えたら「太白胡麻油」で有名なマルホン胡麻油! うちでも大事なときに出してくる、超老舗じゃないですか~!
小気味いいザクザク!という音が響き始めると、「お預け」されているようで生つばゴックンもの・・・!
お待ちかねのとんかつに私が合わせたのは、お昼から失礼します♪ 辛口白ワインがあるというのでそちらを。
カエルのイラストが目立つフランスのアロガント・フロッグ 700円。
爽やかでフルーティー、飲みやすくてキレもあるのでとんかつにピッタリ合います。
ヒレ 同じく110g 1700円
てっきり食前のアイスコーヒーかと思っていたら、こちらは味噌ドレッシングだったというオチw
付け合わせのしゃきしゃきキャベツは食べ放題。
とんかつ向けに味わいにサッパリと酸味を含んでいるように感じたのは、千切りの中にしそも含んでいるからでした。
ロースを薄切りにしたこちらはかろみ(軽身?)かつ(2枚) 2200円。
こちらにだけ網に入って汁だけが搾れるレモン添え。あっさりとおろしポン酢でいただきました。
付け合わせにはそれぞれわさびとレモン汁、とんかつだれ、梅じおなど。私はほとんどのかつを梅じおでいただきました!
梅の風味が軽やかでとんかつがいくらでも入っちゃいます。
もちろんごはん+おつけものとお味噌汁も追加で。各250円。
ヒレのやわらかさは丁寧に叩かれることでお肉の繊維が切れ、ほどよいすき間ができるからでしょうか。とにかくやわらかさに驚きます。
今までに食べたとんかつとはまったく違う歯ざわり。
衣が立っているのもザクザク食感でいいアクセントとなります。
ロースはこの通り、均一の繊維と脂ののったテリが輝く断面。
しゃぶ巻きかつ 1800円。こちらもシェア!
ミルフィーユ状になったカツお肉の層から肉汁がみるみるこぼれてきます。超ジューシー!
おろしを勧められて一口めはこれで食べたんだけど、やっぱりその後は私は梅塩で♪
違う味わい、違う食感に同じとんかつでも飽きがこない。
ワインをお替りして、まだまだみんなとシェアしちゃいます。
車海老一貫 700円。
尻尾も油はねと食べにくさ防止でていねいに斜め切りされているよ~。
わたを抜くだけでなく筋切りの隠し包丁もこの通りきっちり。
この切る切らないで口にしたときの食感が全く変わりますよね。ほどよく空気を含み、身がふっくらと弾みます。
主婦ですが職人さんの手際を見て、自分の日頃の仕込みの手抜きぶりが思い出されて恥ずかしくなりました^^;
塩コロッケ 250円。
ゴロゴロと荒つぶしのじゃがいもに粗挽きのお肉!
味付きなので何もつけずに、じゃがいもの甘さとお肉の旨みをダイレクトに噛みしめました。
最後のカツとなるキャベツメンチは、お昼だけの限定です。
それも切り落とし部分を使うため材料が余っていればという条件で出てくる、裏メニューのような希少なメニュー。
機械ではなく手びきした2種類のひき肉の噛み応えの妙が合わさって、特に脂身の歯応えある部分が最高~!!においしいのだけど、このメンチはたまにしか出会えない”選ばれた勇者のみが与えられる命の実”のような出現率のレアさ(笑)。
奇跡のキャベツメンチと呼びたい・・・。
塩コロッケとキャベツメンチを店頭で総菜として帰りに売ってほしいと板さんに言いましたよ^^; 切実に!
デザートに抹茶アイス 400円。
静岡のお茶屋さんから仕入れた茶葉で作られたアイス。
本格的な濃厚さと爽やかさの両方を感じる抹茶に、さらにそこにミルクの甘さが加わる抹茶ミルクタイプのアイスです。
このほろにが+甘さは癖になる!
お店のオリジナルだというので、バットいっぱい食べられそう・・・!と思わず言ってしまいました^^;
景観、下ごしらえからおもてなしまで人形町らしい粋なお店。
これだけ揚げ物をいただいたら、普通は胃が重たく感じそうですがするするとイケてしまって最後までおいしく食べられたのは、油のセレクトと揚げ方、何よりもその下処理の手際の素晴らしさだと思いました。
ゆっくりと時間をかけてできあがってゆくとんかつを待っていたい。
今まで厚みがあるものがおいしいとんかつだと思っていましたが、全然違うんですね。
「とんかつ屋さん」と軽く呼ぶよりは「とんかつ割烹」と名付けたい居心地をくれるお店でした。
かつ好(かつよし)