実は、3日前にも食べてきちゃいました、近大マグロ

前回記事「近畿大学×豊田通商の近大マグロを試食。新しいマグロ市場の幕開けです。」




 



会見のようすは、直後からテレビや新聞で大々的に報道されましたね。

このことからも、世間の注目の高さがよくわかりました。




もっと詳しく書いていたので、記事を補完します♪
単なる「近大マグロの試食会」と思いきや、すごく真面目な展開だったんですよ。



日本で食べられているマグロは、クロマグロ、ミナミ(インド)マグロ、メバチマグロ、キハダマグロ、ビンチョウマグロなどで、このうち高級マグロと言われるクロマグロミナミマグロなどが国内外で養殖されています。

日本のクロマグロ養殖は、1969年長崎県でマグロ幼魚を捕獲してからの育成試験に始まりました。
そのプロジェクトに参加した近畿大学は研究を続け、親→卵→稚魚→成魚→産卵→孵化、という循環型完全養殖を夢み、研究を積まれてきたのです。





1970年に始まったその近大の技術をもとにして、世界初となる産学連携によるクロマグロの完全人工養殖の量産化に向けて、豊田通商と近畿大学が、水産養殖事業推進の覚書を締結した――― 
その発表会だったのです。




「大学に資金なし、研究費は自ら稼げ!」

その理念で不可能を可能にしてきた近畿大学水産研究所 。
生産→販売の中で、研究材料と研究費は運用し、外部資金に頼らないことで研究の継続が容易なサイクルを完成させたのです。

これって凄いこと。
登壇されたメンバーがまた凄い。





近大校友会名誉会長、近大水産研究所所長、近大理事長、豊田通商社長、豊田通商食料本部長・・・
陪席には、アーマリン近大代表、近大水産洋酒種苗センター本部長、センター長・・・


もともと既存の事業として2010年7月に技術協力を結び、6年間にわたって信頼関係を築いていた近大と豊田通商。
海上生け簀にてクロマグロの5センチ程度の稚魚から、30センチ程度のヨコワと言われる幼稚園児くらいまでの育成を、長崎五島のツナドリーム五島で行ってきました。




今回は近大の技術員を出向させスタッフを派遣することにより、そこまでいく前段階の種苗、1ミリの受精卵から稚魚までもフォローすべく船で15分の距離に作る新設のツナドリーム五島種苗センターの陸上水槽で孵化、育成させるというのです。




ツナドリーム五島種苗センターは一年後の5月稼働予定だそうですよ。





過程としては~

親魚の受精卵を水面で採集→卵→孵化仔魚→種苗センターの陸上水槽で約30日間飼育→稚魚ツナドリーム五島の中間育成養殖場に移動




養殖に漁獲する天然&人工ヨコワの数は、2011年の54万尾を頭打ちに2012年には21万尾、2013年には35万尾と漁獲量が不安定な流れへ。
その上、国の規制で今後さらに漁獲規制がささやかれているそうで、マグロの養殖が増加傾向に→人工ヨコワの重要見込みは約40万尾にものぼるそうです。
天然ヨコワの保護=天然マグロの資源回復が見込まれます。




人工ヨコワの生存率を50%としても、人工種苗の稚魚が70~80万尾必要となり、量産化工場となるツナドリーム五島種苗センターの設立への需要が高まりました。




近大の現在の生産数、約40万尾と合わせ、必要量の70~80万尾の供給が可能となればまさに夢のよう!
ところが、現状約5センチの稚魚を和歌山や奄美の近大施設から漁船で3日かけて五島へ運んでいるのだそうですが、天候や荒波などの影響を受けやすく、繊細なクロマグロの稚魚は約半数死んでしまうのですって・・・。







その赤ちゃんの死亡リスクを大幅に減らすために、中間育成漁場の近くで育ててゆく幼稚園のような場所がいると考えられたわけですね。
安定的な供給を目指して、中間育成事業を行っていた長崎に、量産化を視野に入れた共同のマグロの一貫学校を。

うん、そう考えたら大学と商社の提携の意味もすごくよく伝わってきました!

将来的には餌となる鯖などの魚も完全養殖で、と考えられているのだって。


日本の食文化の代表ともいえるマグロ。
完全養殖された近大マグロは消費者のもとへそして、やがては全世界へ。
クロマグロが世界のどこでも食べられる時代がやってくるかもしれません。
そんな完全養殖の近大マグロの直営店は、銀座と大阪にありますが、支店が世界にも!と思うと夢広がりますね。




さて! そんな近大マグロと青森のマグロをあの銀座 久兵衛さんが握ってくださったわけですが。




阿藤快さん、いくらおいしいからって食べまくりです(笑)www










「うまい!」を連発。笑顔、笑顔の食べ比べされてましたね。

「大間の天然は味がゆるい、近大マグロははっきりしてる。」とのこと。
14年前にもテレビ番組で近大マグロを食べたことがあるそうですが、そのときより、味が進化しているともおっしゃてました。






私もいただいてみました。




こちら、青森・大間獲れの天然本マグロ。





そしてこちらが近大マグロ。




ビジュアルとしては、同じお皿に載せていないと、反射や色彩の印象が変わるので比較しづらいのですが、持った単体で見ると近代マグロのほうがつやがあり色鮮やかな気がしました。
味や食感はそれ以上に個人的感情なのでなんとも言い難くはありますが(お寿司だと握った時間により表面も乾いてきますしね。)、私には近代マグロのほうが繊維がなくやわらかく、脂乗りがよいため口に入れたとたんとろけるような口どけに感じました^^




すごくおいしかったですよ♪

天然資源を回復しつつ量産化が軌道に乗れば、30万個の卵を生産できた場合には年間約10万匹のマグロを増産できる計算になります。 
出荷数に換算すると4000tで、それは日本で消費されているマグロ40000tのうちの10%を近大マグロでまかなえてしまうのです。
計算上ですが。




「社会に役に立ててその過程を学生が学び、収益につなげ、次世の研究に生かす」


それを信念に、このサイクルに情熱を注ぎともに汗を掻く決意をされた近畿大学と豊田通商。

また、舞台が大学という場所でもあるので、使われる言葉に、ヨコワを「幼稚園児」と呼んだり、出荷するマグロを「卒業生」と呼び"近大卒業証書"を授与したりとどこか遊び心もあります。



最後に、質問できる談笑タイムがありましたので、「台風被害を受けやすい」という話から、ではなぜ台風の通り道である九州に中間育成種苗センターを置くのか、などいくつか近大の水産研究の方に話をうかがうことができました。


第一に、長崎の五島の水の美しさ。そして気候の暖かさ。
河川やダムが近くになく湾に汚れた水が流れ込まないことから、きっと水質も栄養も申し分なくあるようです。


次に、消費者へのアプローチについても聞きました。
私はスーパーで売られている近大マグロに出会ったことがなかったのですが、関西では阪急百貨店、首都圏では三越や大丸など一部高級スーパーでは対面販売がもうあるそうです。
ただお高めなのは否めないとか・・・^^;
量産化されれば個体数も増え、自然と値段も下がるのでしょう。


「あなたー! 今日は焼肉にする? それとも近大マグロ?」


そんな日がいつかやってくるかもしれませんよ(笑)?



「近畿大学水産研究所」 http://kindaifish.com/
「近大マグロ」 http://kindaifish.com/picture_book.html
「近畿大学」 http://www.kindai.ac.jp/



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