カクテルを頼んでみる。決心するのに時間がかかるのも演出のうちか。10分して出てきたのはカシスオレンジをベースに浮かぶ果肉の数々。200%果汁。 その気持ちしかと受け取った。溺れる果肉は唇に吸い付く。こんなんじゃ酔えないよ。脇にグラスをどけた拍子に中身がテーブルにダイブ、自殺行為だ。形を保つことない液体の宿命。遺言はこの中指に任せておけ。オレンジの言い分に耳をかたむけながら、書く。「飲んでくださいって・・・」おんどりゃーとテーブルを持ち上げて先に落ちてくだけたグラスの後を追うようにひとしづのしずくが口の中にはいっていく。ごちそうさまでした。