一個のことに集中してる時、どのくらいの事を、平行してやってるのだろう。今日ご飯休憩時にお弁当を食べていて米粒がぽろっと落ちて床とご対面しちゃったのね。大地印象いいもん同士らしく、離れようとしない。床と仲がいいものは、五万とあって、この部屋だけでも椅子、机、ロッカー俺の靴、ほこりのように小さすぎて見えないものまで、数年前から、もう身動きも取れなくなってしまったものまでいるんだぞと、説得してみたものの、逆効果。人目もはばからず、ディープキスである。炊き上がってから長くて数時間、早くて数十分の命と知っての行動か。一年間、ずっと田んぼの中で我慢してきたのか?みんなと同じ太陽を浴び、雨を受け、風になびいて、やっと外に出られたと思ったら人間の口の中じゃ寂しすぎるもんな。よし!最後まで、見守ってやろうじゃないの!彼も、小銭を落とした振りをしながら、腹ばいになって、床にほおずりをしはじめた。 (つづく)