煮込みハンバーグのお話 | 歴史と折々の随想

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日常に隠れた「歴史」について語ります・・・

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昨日、煮込みハンバーグを作りました。

付け合わせはジャーマンポテトです。


「合い挽きミンチ」に「飴色になるまで炒めたタマネギ」とつなぎに「牛乳に浸した食パン」を、塩・胡椒・ガーリックを加えてよく練ります。

フライパンで両面を軽く焼き色がつくまで焼いたら取り出します。


油と肉汁の残ったフライパンに水とコンソメスープの素を入れて煮立たせます。

赤ワインを少々入れて味を調えたら、トマトをざく切りにしたものを加えて、味付けは、ハンバーグを入れる前にします。


甘めのスープがいい人は、砂糖や蜂蜜で調整して下さい。

ただし甘いトマトを入れた場合は、加減して下さい。

酸味の強いトマトの方が大人の味です。

そこに焼いたハンバーグを入れて、弱火でコトコト煮ます。

20分ほどで出来上がりです。


ジャーマンポテトはジャガイモとベーコンをオリーブオイルで炒めて、塩・胡椒で味付けするだけの簡単なドイツの家庭料理です。実は“ジャーマンポテト”というのは和製英語だそうです。

ドイツ語では「ブラートカルトッフェルン」といいます。


意味は「炒めたジャガイモ」です。




この料理を作っているときに、ふと思いました。


「今日の食卓は東西文化の融合料理だなぁ。」と。


『ハンバーグ』の起源はドイツのハンブルクで労働者向けの食事として流行したタルタルステーキです。

このタルタルステーキというのは、13世紀にヨーロッパに侵入したモンゴル人の生肉料理が原型にあります。

モンゴル人のタタール族がその名の由来といわれています。


ハンバーグはまさにドイツ人とモンゴル人が生み出した料理と言えます。そこにアメリカ大陸から伝搬したトマトを使用し、これまたアメリカから伝えられたジャガイモが付け合わせで添えられています。


「なんてインターナショナルな食卓なんだろう!」と一人で満足していました。

ちなみにジャガイモは入試世界史でもよく出る食材なので注意が必要です。



「ジャガイモ」と言われて、皆さんが連想する場所はどこでしょう?


そう!そのとおり!



ジャガイモといえば北海道ですよね。


つまり、この食材は寒冷地でも育つ、寒さに強いデンプン質の食糧なんです。

したがって大航海時代以降、アイルランドやポーランドなど、主にヨーロッパの北の方で、貴重な食料として栽培されました。

ところが、この植物は意外と病気には弱いという欠点がありました。


このため“ジャガイモ飢饉”と名づけられた歴史的な事件がありました。

1840年代、アイルランドでジャガイモに病気がはやり、ほとんど取れない不作状態が続きました。このため、アイルランドでは100万人規模の餓死者がでたとも言われています。このためアイルランドから北アメリカへの移住(移民)が、この頃から増えています。


1840年代というと、中国ではアヘン戦争の頃で、欧米列強の進出に伴い、中国からも多くの移民が北アメリカを目指しました。


今日の大陸横断鉄道は彼ら移民によって建設されたものです。

我が家の食卓には、歴史があります。

それでは、今日はここまで。

明石智彰


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