江戸時代初期に角倉了以が手掛けた朱印船貿易を調べていると、とても興味深い書籍と出会いました。
その書籍は、16世紀の大航海時代にスペインとポルトガルが世界制覇を目指し、
アジアの覇権を展開した史実を綴ったもので、昭和17年に創刊されその後廃盤となった本でした。
本の中には、当時、無敵艦隊を誇り世界最強といわれたスペイン王国が、アジアへ進出を図り、
まずフィリピンを占領し、東アジアから中国大陸そして日本へと勢力を伸ばしつつあった時代のこと。
戦国の覇者となった豊臣秀吉はその強力な軍事力を背景に、スペインに対して巧みな外交を展開し
対抗していたリアルな史実が書かれていました。
特に注目したいのは、これら史実の裏付けとなっている資料は、キリスト宣教使や航海者等の報告や
記録に基づいたスペインの公文書によるもので、英訳され公開されているものである点です。
当時はスペインとポルトガルの両国で、世界を2分割して支配するという青写真を描いてアジア覇権を展開し、
日本も地図上では分割される予定をしていたのです。
事実、布教の目的で入国したキリスタン達は、日本人を奴隷として船に乗せ、遠い西欧に連れ去り
売りさばくことで利益を得ていたこともあり、危機はまさに迫っていたようです。
そんな状況の中、豊臣秀吉とその後の西欧外交を引き継いだ徳川家康はいかに列強に立ち向かったのか。
日本の学校では教わることがなかった戦国時代史の日本の「もう一つの姿」と出会うことになりました。
外交資料が難解で、背景となる世界史を洗い直さないと正しく理解できない書籍ではありますが、
しっかり読み込んでみたいと思っています。
そして、その同時代に京の豪商・角倉了以はなぜ「互恵的貿易」を提唱し実践したのか?
その点についても深掘りしていきたくなる探求心がくすぐられる本との出会いでした。