いまから15年前の2005年のことです。
大手新聞に、100年以上前(1906)明治の日本を撮影した8ミリフイルム」が
海外で発見されたとの記事が掲載されました。
記事によると、フランスのパテ社という会社が撮影したもので、
2005年にオーストリアで発見された紀行映画(トラヴェローグ)で、
調査の結果「日本の風景や風俗を撮影さたものでは最も古く
世界映像史の上でも初期製作の部類に入る、歴史的な映像フイルムだと
いうことで衝撃的に報道されていました。
そして、その貴重なフイルムの中に「保津の急流」という映像があり、
保津川下りの船がしっかりと記録されていのです。
現在は東京の国立近代美術館フィルムセンターに保管されていますが、
僅か4分ほどの映像の中には、舟上からの撮影ばかりでなく、
綱で曳き舟を上流へ戻していく幻の曳舟の様子や小鮎の滝や金岐の瀬などの
急流ポンイトから映されているシーンも記録されていて、
当時のカメラマンたちが保津峡の険しい谷間に入り込み、
かなりの時間と動力を掛けて舟が下るシーンを記録に収めたことがわかります。
当時のヨーロッパの映像人たちが情熱を注いで撮影した、
初めての日本。彼らの目に保津川下りは収めておかねばならない
被写体だったことを光栄に思います。
2005年8月に東京の国立近代美術館で開催された
「発掘された映画たち2005」として一般公開されました。
このように保津川下りという日本古来の和船川下りは、
当時の欧米諸国に「日本らしいモノ」として映像を
はじめ多くの書物に収められています。
1000年を超える国内流通をささえてきた河川舟運は、
間違いなく日本の生活文化を象徴する文化財だと確信しています。
そして、それは昔の話ではなく、今の話でもあります。
自然の川の流れや形状から生み出された独自の操船技術、
増水後の河川復元工事技術など、今も変わらず受け継がれている
伝統の技術により支えられているのです!
今一度、その価値を観光という枠を超えて、
世界に問いたいと思っています