「鵺の泣く夜は恐ろしい・・・」

これは80年代に一世を風靡した角川サスペンス映画のCMコピーだったものです。

 

なにか背筋に寒気が走る不気味さが忘れられません。

 

そのCMに使われた「‘鵺’(ぬえ)」にまつわる怖い逸話が、

京都にもあり、古くから都人の間に恐怖話として語り継がれています。

 

 

鵺(ぬえ)とは、陽が沈んだ暗黒の闇に生息する怪鳥で魔物・怪鳥で、

「平家物語」(第四巻)では「頭は猿、胴体は狐、尾は蛇、手足は虎の如く」と表現されており、

夜になると不気味な奇声を発し都人に恐れられていました。

 

 

仁平年間(1151~54)の頃、丑の刻になると東の空に黒雲が広がり、

太極殿や天皇の住まいがある大内裏上空を覆いました。

 

 

その黒雲から怪しい鳥のような鳴き声が聞こえてくると、

まだ幼い近衛天皇は非常に怯えていました。

そこで御所を警護していた源氏と平家の中から弓の名手・源頼政が選ばれ、

鵺退治に向かわせたのです。

 

 

頼政はいつもように黒雲が広がってくるのを見計らい、

雲の中いる怪しい生き物目掛けて、矢を放ちました。

奇声を発して落ちてきた鵺に、頼政の家来達が刀でトドメを差したのです。

仕留めた!という手応えがあった後、松明で照らしてみたその姿上でで、

上で述べたような怪鳥のさまだったのです。

 

この時に頼政が矢のやじりを洗ったといわれる池が

二条城の北側ある「二条公園」に今も残っています。

「鵺池」といわれる馬のひずめ形をしたその池は、公園の最北西の角にあり、

足首ほどの浅い池です。今はきれいに整備されていますが、

以前は池の周りを木々が生い茂り池水も殆どなく、

不気味な雰囲気を漂わせていたといいます。

 

池の右側には退治された鵺を祭る「鵺大明神」が建っています。

この「二条公園」は昭和9年に開園された児童公園で、平成16年に平安京時代の

遺跡跡(地業所や側溝など)を復元整備されました。

 

今では市民の憩い公園として広い年代の人に利用されています。

が、しかし。現在でも、この逸話以外に不可解な話がいくつかあります・・・

その話については、また機会があればお話できればと思います。