ドラマを見るのも好きでして。
今夜は、このドラマを見返してました。
「心の傷を癒すということ」
安克昌さんという実在の精神科医の生い立ちから、阪神大震災の避難所での精神科医として心のケアの様子、その後のことを描いている。柄本佑さんが安先生を演じている。
このケアの取り組みは、当時の日本で心的外傷後ストレス障害(PTSD)の認知や、傷ついた人に寄り添い「傾聴」することの重要性の認知を大きく進めたとのこと。
在日コリアンの家庭で、厳しい父親のもとで育った。でも、優しい青年に育っていく生い立ちも描いていて。
「自立せえ」
「世の中のためになるような生き方をせえ」
などといつも言う父親を石橋凌さんが演じていて。
いつも父親の機嫌に雰囲気が左右される、ピリピリした家庭。
口ごたえなんてなかなかできない。父意見をするとときでも、震えながらする。
僕もそんな家で育ったから、とても共感できた。
そんな安先生は、医学部に進み、精神科の道を志す。
現実の中で、生き残るために必死に生きる父親、権威的な父親のもとでは、優しい子供は、精神的なものに関心をもつ。
このパターンも、自分に近いと思って、共感して見ていた。
永野先生という、精神科の師匠が出てきた。近藤正臣さん。この俳優も好きで。優しい役が素晴らしい。
この永野先生は、中井久夫という実在の精神科医がモデル。
僕は、震災から3年後の98年に関学社会学部へ入学し、仮設がまだ残る西宮で青春を過ごした。
震災支援に関わった関学の教授からは、中井久夫さんのことや精神科医らの避難所でのあり方などを良いふうには聞いていなかった。
中井久夫さんについては、自ら現場へ出向いて記録を残していないこと、精神科医たちについては、なにか、避難所へ行って「眠れてますか」などと声をかけて回ることのこなれてなさ、精神科医たちのある種、場違いな振る舞い方を揶揄するような言い方だった。
それは、災害時の心のケアなんてそれまでは、おそらく誰もしてこなかったので、精神科医たちの様子が当時としては見慣れないものだったということだと思う。
なにがよかったか。
安先生の優しさがすごく描かれていて。
患者一人一人にしっかりとフォーカスをあてて、傾聴する様子。
家族への思いやり、中でもあんなに怖かった父親への思いやり。そういうところも描かれていて。
安先生は39歳の若さでガンで亡くなるのだが、死の恐怖に一人涙するが、妊娠中の妻の終子(しゅうこ)(尾野真千子さん)には、そんなことをおくびにも出さず、ガンであることを隠して、穏やかに支える。不器用だが誠実な後輩精神科医(浅香航大さん)には、「焦ったらあかん。君はじっくりとした歩みは、他の人が見逃してしまうようなことを見つけだしてくれる」と声をかけ、励ました。
他にも沢山の要素はあるが、またNHKオンデマンドなどでご覧いただけたらと思う。
良いドラマでした。
ありがとうございました🙏