今、地球へ向かっている。
アンドロメダ銀河フィッフィ星を滅ぼした張本人だ。
普段、宇宙全体にあるダークマターの中に隠れている。
それがその姿を現し、230万光年の旅をしている。
やつ は、いずれ地球にやって来る、地球を滅ぼす為に。
やつ は、光より速い。アインシュタインも知らない世界だ。
ヤッチは震え、一人 ・・・自身の世界に入っていた。
そして、突然語り始めた。。
「 私、怖い。やつ がやって来る・・・ ・・・。」
ヤッチには見えるのだ、はるか彼方のその姿が。
ヤッ吉が異常に気がつき、声をかけた。
「 どうしたんだ!ヤッチ?」
「 不吉なやつ が、やって来るの。私には見える。」
いつもそうだ、見たくない物も突然 脳裏に侵入して来る。
「 僕にも見せてくれ、そいつを!」
ヤッ吉は、共有すれば不安が軽減される事を知っていた。
「 分かったわ、準備して お兄ちゃん。」
無心になったヤッ吉の脳裏に、無限の宇宙が見えた。
それは、初めて見る銀河群の光景だった。
「 あ・あれは、何だ?」
ヤッ吉が見つけたのは、銀河の中を飛行する<やつ>だった。
その大きさは、分からない位巨大だ。
しかし、ヤッ吉が気になったのは周囲の銀河群であった。
その理由とは、銀河の中心にはそれぞれ渦巻状の物が存在している。
以前、負のシンドローム(第172話)を考えた時導き出された
<すべてのものは、始まりがあり・終わりがある。>の答がある。
その事をフッと思い出した。
宇宙の無や真理の状態そのものを、今ヤッ吉は見ているのだと直感した。
各銀河の中心には右回り・左回りの物があり、ほぼ同数ある。
例えば、右回りを-(マイナス)・左回りを+(プラス)とするならば
無(0ゼロ)に近い状態でこの辺の宇宙が成り立っているのだ。
だから、負(マイナス)の存在を恐れる事はない、必ず対策はある。
現代物理学でこの宇宙は今も膨張していると言うが、宇宙の外側では
左回り(プラス)が多い、だから膨張への方向なのだと考えた。
そうなれば、宇宙の成り立ちは理論的に合っていると結論出来る。
( これは、あくまで推測域のヤッ吉宇宙論のひとつに過ぎない。)
ヤッ吉が、その考えにまとまるとヤッチに言った。
「 何も心配する必要ないよ。さあ、ウサリンに会いに行こう。」
心が温まる声だった。
「 ウン!お兄ちゃん。」
その一言で、ヤッチはホッとした顔になった。
さすが光る子、先人たちの知恵をすべて持っている。
もちろん、ヤッ吉自身たえず修行をしている。
それにしても、ヤッ吉の宇宙理論は、どこまで進化するのか?
楽しみだ。
(森のレンジャー Mr.F)
つづく