ゆか 「そんな、がんちゃん先生こそ・・・」
オレの思い過ごしか、冬の冷たい風のせいか、ゆかの頬が少し赤らめているように見えた
それにしても最後に見たゆかは、中学3年生だった
あれから6年
見違えるほど可愛くなっていた
オレ 「本当可愛くなりすぎだよ!あんまり可愛くなりすぎると彼氏が心配するんじゃない?」
ゆか 「えっ!? わ・わ・わ わたし、彼氏なんてい・・・ いないよ・・・」
少しニヤケながらからかうつもりで言ったのだが、思っていた反応と違い少し戸惑ってしまう
これだけ可愛ければ本当に彼氏がいても不思議ではない、そう思ったからだ
オレ 「本当かよ! これだけ可愛ければ周りの男はほっておかないだろ?」
ゆか「ん~、まぁ食事とか、少しは誘われたりするけど・・・」
オレ「そりゃ、そうだよな オレだってゆかちゃんがこんなに可愛かったら放っておかないもん!」
流れで本音が出てしまった
オレがつい本音を漏らしてしまった直後、ゆかは俯いた
やばっ、ついついだったが再会してすぐにこんなことを言うようじゃただの女好きの変態講師と思われる
ゆかはまだ俯いたままだ
やっぱり変に誤解されたか?
きっとゆかの周りの男たちも下心が多いやつらばかりだったのではないか?
これだけ可愛ければ下心の多い連中に言い寄られても当然だ
今まで、そんな男たちからの変なアプローチを受け続けて、男が嫌になっているんではないか?
もしかして、きっとオレもそう思われた?
俯いているゆかと、ゆかに誤解されて息もできないほど硬直してしまっているオレの間に緊張とも険悪ともいえない空気が漂う
北風が一瞬、さっきよりも強く吹く
今日の風は、いつもより一層冷たいみたいだ
肌で感じる風に身震いしそうな感覚を抑えようとしている時に、ゆかが言った
ゆか「じ、実はね 私もがんちゃん先生の事、す、好きだったんだよ」
オレ「え?」
再び、訪れる沈黙
しかし、さっきの沈黙とは全く違った
照れた
そして次にオレが言った言葉は本心ではない
ただの照れ隠し
オレ 「本当? 気づかなかったな~ う~ん、残念!もっと早く気が付ければな~ オレって本当に鈍感なやつだな~」
実際は違った
実はオレもゆかが好きだった
好きだから、ゆかがいる授業の時はその日の朝からすごくわくわくしてて、楽しみに仕事に行ってたんだ
授業の前の準備も普段の倍、時間をかけてたんだ
休憩時間と授業が終わった後に何を話そうかなと考えながら教えてたんだ
それだけじゃない、他の生徒よりも ずっとずっと長くゆかを見ていた
・・・
・・・・・・・
・・・・・・・・・・・
お互いに黙ったままの時間が続く
気づけば2人ともホームの最前列から離れ、ホームの端にいた
どれくらいの時間が経ったのだろうか
乗るはずだった電車は、もう何分も前に2人を置いて発車していた
気づけばゆかと同じようにオレも俯いていた
そして、ふいにゆかの声が俯いていたオレの耳から胸の中心をつく
ゆか「い、今・・・」
心の準備をしていなかったオレに、その短い言葉は驚かせるのに十分だった
急に放たれた声にびっくりして、飛び上がるのを全力でこらえた
そして、ゆかのこの言葉を聴いたオレはさらに驚くこととなった
ゆか「ねぇ、今からっていうのは もう遅いのかな?」
オレ「!!!???」
人が驚いたときによく”心臓が飛び出す”っていう表現するのを大袈裟だと思っていたが、今分かった
人は驚くと本当に心臓が胸を破って飛び出しそうになる
それくらいに胸が苦しくなった
あまりにも唐突なゆかの言葉に嬉しさよりも驚きが勝り、頭の中が真っ白になってしまった
」
そして、反応できないオレに対し、急に我に帰ったように取り繕うとするゆか
ゆか「あ、えっと、ごめんね! やっぱ今のなし!忘れて!」
ゆか「こんなこと言われても先生迷惑だよね? 私は彼氏いなくても先生もこんなにかっこいいからきっと素敵な彼女さんいるよね? あ、もしかして結婚して奥さんがいるかな?」
ゆか「なんか私、いきなり変なこと言ってごめんなさい 何言ってるんだろうわたし・・・ わたし・・・」
オレ 「ゆか・・・」
目の前のゆかは、笑いながらつぶらな瞳から光るものを流していた
生徒と講師という関係から、もう6年経った
ゆかを講師として教えていた頃は、そういう関係である以上、わざと考えないようにしていた感情が・・・
今、抑えきれなくなったんだ
オレ 「遅くなんて・・・ないさ!」
一度、深呼吸をしてから精一杯声を出して言った
ゆか「えっ?」
ゆかの瞳から、また新たに輝きが溢れて頬を伝う
オレ「さっきの台詞、オレの台詞だ! 勝手に人の台詞を言うなよ!」
ゆかの瞳が涙でゆがんでいる
ぶわっと涙が溢れた次の瞬間
ゆかはオレの胸元に顔を埋めていて、その瞳がどういう状態か分からなくなっていた
その代わりに、ゆかのぬくもりが伝わってきた
今日の風は本当にいつもより冷たい
その分、ゆかの暖かさが、すごくよく分かる
会社帰りの人々やが通り過ぎながら視線を送る先には、ぎゅっと重なる2人とひとつの影があった
~Fin~
追記
え~、オレのくだらない妄想にお付き合いいただきありがとうございます
実は、これ書いている時に
めっちゃニヤニヤしていたことは内緒ですw
それとゆかちゃんは実在するんです
まぁ実際のところ、この話は妄想ではなく
そうだよ、オレの未練の塊だよ!(涙
もう32歳・・・そろそろ現実逃避やめないとな・・・