前書き
今回は集合について取り上げていきます。前回の論理演算を図解で示したものなので、前回の「論理演算」の理解度も含めて深めていただければ幸いです。
※ 否定を表す記号は前回に引き続き、Excelの仕様上下線で表しています。
1.集合演算の種類
集合演算は「ベン図」と呼ばれる絵で表現すると理解が容易になります。集合演算には「和集合」、「積集合」、「差集合」、「補集合」の4つの基本的なものがあり、それぞれを集合Aと集合Bのベン図で表すと、次の図のようになります。
「和集合」(A∪B)は集合Aと集合Bを合わせた赤い部分つまり集合A全体、集合B全体、それに集合Aと集合Bが重なった部分が和集合Aと集合Bの和集合となります。
「積集合」(A∩B)は集合Aと集合Bが重なった青い部分がこれにあたります。「和集合」との違いは、「和集合」から集合Aと集合Bが重なっていない部分を差し引いた部分が「積集合」となります。
「差集合」(A-B)は集合Aから集合Bを差し引いた緑色の部分がこれにあたります。集合Aと集合Bが重なった部分も集合Bが含まれているので差し引きます。
「補集合」(A)は全体集合(集合A、集合B、集合AB以外の部分)から集合Aを含まない黄緑色の部分がこれに当たります。集合Aと集合Bが重なった部分も集合Aが含まれているので差し引きます。
2.集合演算に関する公式
集合演算には「補元則」、「同一原則」、「分配法則」、「ド・モルガンの法則」の4つの法則が成立します。
「補元則」は「 A ∪ A = Ω(普遍集合と呼ばれ、論理演算では1に対応)」と「 A ∩ A = ∅(空集合と呼ばれ、論理演算では0に対応)」、「同一原則」は「A∪A=A」と「A∩A=A」、「分配法則」は「A∪(B∩C)=(A∪B)∩(A∪C)」と「A∩(B∪C)=(A∩B)∪(A∩C)」、ド・モルガンの法則は「 A ∪ B = A ∩ B 」と「 A ∩ B = A ∪ B 」、と公式に表すと複雑に見えますが、先ほどの「和集合」、「積集合」、「差集合」、「補集合」さえ抑えておけば理解度は深まります。
後書き
「論理演算」、「集合」ともに公式にすると難しいように思えますが、「論理演算」では「論理和」、「論理積」、「否定」、「集合」では「和集合」、「積集合」、「差集合」、「補集合」の基本的な仕組みをおさえておけば、理解は容易になります。基本情報技術者の「基礎理論」では数学知識が求められる範囲が続くので頭が痛くなる人もいらっしゃると思いますが、できるだけ理解していただけるよう努めてまいります。
参考文献
(1) 日髙哲郎編(2008)「新しい基本情報技術者【午前】問題集」p34~35
日本経済新聞出版社
(2) (2017年)「ITの基礎知識 ITパスポート・基本情報 集合と命題」
<https://basics.k-labo.work/2017/08/31/%E9%9B%86%E5%90%88%E3%81%A8%E5%91%BD%E9%A1%8C/>
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