天気が悪い日に
押し潰された心には
毒みたいに
ゆっくりと効いてくる
激励の言葉も
舌ったらずのペニシリン
解凍されない
頑なな心臓
外灯の下に猫


人の死が
いつになく
すんなり
受け入れられる
そんな夜は
アンコールで消毒して
絆創膏を
心に貼るんだ
包帯の方が良いけど
そんなに
豊かな生活じゃないんだ
時間は平等でも
時間には
ランクがあるんだから
シンシンとした夜
外灯の下に猫


道端に蝿の集る
白蛇の死体が
可愛いそうだったけど
帰りの運転で
道を横断する
黒蛇を踏んだ
思いもよらない事が
時間の中にあるのなら
停滞する心持ちも
思いもよらない事だ
点滴を打ち続けて
自分を誤魔化す
月明かりの中
外灯の下に猫


言葉の先にあるはずの
何かが無いから
世の中は揺れ動く
体の中の
自分という世の中だって
揺れ動く
慢性的に発熱しては
低体温症になる
ささやかに市販薬
投げ出したモノは
なんだったんだろう
疑問符を足音に変えて
水たまりの月を踏む
雨の残り香
外灯の下に猫