遮光カーテンが
暑さを助長する
洗い終わった
ネガを取り出して
吊り下げる
1番下になる方へ
重りを付ける
秒的な清涼感
外の世界も
猛暑なんだけれど
暗闇の中の暑さの泥沼より
比較的
涼やかになる

手に取るハサミは
ネガの連結を
お好きな様に切り取る為
これからが楽しみで
これからが煉獄で
真夏の一人作業は
蟹を食べてる人より
一人作業なんだけれど
金脈を一人で掘ると思えば
そのワクワク感は
誰にも伝えたくないモノ
扉とカーテン
作業が始まる

光源からネガに
ネガから印画紙に
通る光は天使の梯子
滴る汗に張り付いた服
セーフライトに照らされて
浮かび上がる一瞬の宝石
停止から定着までの
僕だけの時間

水洗いをする
才能という
よくわからない能力を
確かめる為に
闇からの解放
猛暑からの解放
一息と水分補給とフワフワタオル
一瞬の絵画を
洗濯物の様に干したり
漬け物の様に重石をのせたり
無言の時間を
幾日か過ごす

完成品の品定めは
シビアの眼鏡越し
一瞬の絵画を
複数枚並べては
一人
論議と納得と定義
題名という名の難問
見た人から
笑顔を伴う息を得る為の作業
写真という一瞬の絵画を
僕の中に定着させる為の作業
これがあったから
今でも好きなモノになったのだろう
僕の時間から離せないくらいに