コミュニティライターの
お寺巡礼記1
 
今日は、奈良・五條市にある、
寄足山 生蓮寺(よらせざん しょうれんじ) へ。
 
 
嵯峨天皇の皇后が懐妊して苦悩されたとき、安産祈願のため、地蔵菩薩に祈りを込め、小野篁(おの たかむら、嵯峨天皇に仕えた平安初期の官人)に命じて、安置したのにはじまります。
 
ご本尊さまは、地蔵菩薩坐像。
 
永禄13年(1570年)の銘が記されています。
 
坐像といっても、高さ328cmもある、とてもとても大きなお地蔵さまで、毎年1月24日には「初地蔵法会」、8月24日には「地蔵盆ローソク祭り」が営まれます。
 

また、弘法大師 空海が、高野山を開くときに、このお寺に立ち寄り、約54.5cmの地蔵を彫って、ご本尊さまの胎内に安置し、重ねて開眼供養して、道中安全、諸悪退散、所願成就を祈念されたと伝わります。

そのことから、いつしか、この地域は、「よらせ(寄足)」と呼ばれるようになったとか。なので山号も、「寄足」になったんですね。

特に、空海は、高野山への道中の晴れ祈願をされたことから、晴れ祈願のお地蔵さんとして親しまれています。

夏のころ、生蓮寺を訪ねると、カラフルなてるてる坊主が境内のあちらこちらにぶらさがっています。野球の試合だったり、イベントだったり、なんとかその日の雨を避けたい!という願いを込めて、お寺に来られるそうです。

ここ数年は、さまざまな種類の蓮の花が咲く名所としても知られています。

その数なんと、約120品種300鉢の蓮の花が、6月下旬から10月上旬にかけて咲きます。

お寺の名前にちなんで、蓮を育てるようになったのは14年ほど前から。

蓮は、白やピンク色のアジア系と、黄色のアメリカ系の2種に分かれ、簡単に品種を掛け合わせることで、新たな蓮を作ることができるそうです。

いろいろと掛け合わせて研究を重ねた結果、誕生した「生蓮寺蓮」は、透き通ったやさしいピンク色をしていて10月中旬まで咲くそうです。

ぜひ、この夏、透明感ある蓮をご覧ください。

といっても美しい蓮を咲かせるためには、毎年、春先に1鉢ごとに植え替え作業をされています。

かなりの重労働ですが、美しい蓮が咲くのを思い浮かべながら、檀家の方と一緒に、株分けをし、土を入れ替え、大切に育てているそうです。

美は一日にしてならず。

なので、せっかくなら、五感で蓮を楽しんでもらおうと、講座を企画しました。

蓮茶のおもてなしに始まり、副住職による、蓮の魅力のお話、蓮瞑想(阿字観)を行います。

昼食は、ミシュラン一つ星で、五條野菜を使った滋味あふれる料理が有名な   五條源兵衛 さんの食事をご用意していますよ。

体も心もすっきりする半日。
ゆっくりと五條・生蓮寺でお過ごしください。

 

講座の詳細は、朝日カルチャーセンター 吉野塾まで。

 
また生命科学博士でもある副住職が、蓮の魅力や栽培方法を紹介した『見る、育てる、味わう 五感で楽しむ蓮図鑑』は、写真が美しくて、見ているだけで、心がほっこりします。

 

 

DATA

寄足山 生蓮寺

奈良県五條市二見7-4-7

0747-22-2218 (9:00~17:00)

最寄駅:JR和歌山線大和二見駅より徒歩7分

駐車場:30台