大槻能楽堂90年記念公演「翁」「末広かり」「高砂」 | カンゲキのーと

カンゲキのーと

観劇の感激、間隙の感激。カンゲキ屋ののーと。



⭐︎大槻能楽堂創立90年記念公演 第1回

@大槻能楽堂 2024年1月3日(水)

「翁」(観世三郎太、茂山千五郎」

「末広かり」(茂山宗彦)

「羽衣」(大槻文蔵)

「笠之段」(観世銕之丞)

「高砂」(観世清和)


◎注連縄のかけられた初春の能舞台。良き。


◎観世ご宗家、銕之丞師、文蔵師…観世流シテ方東西の重鎮フル出演というミラクル過ぎる豪華布陣。興奮のあまり震えが止まらない。


◎のみならず、大鼓は亀井広忠師、小鼓は飯田清一師という圧巻のベテランコンビ、笛の杉信太朗師に太鼓の小寺真佐人師という新進気鋭の中堅という絶妙な囃子方フォーメーション。この番組を見ただけで興奮。


◎久しぶりに拝見した茂山千五郎師。舞台が一回りも二回りも大きくなられていて、感動。体幹も素晴らしく、揺らぐ事なく、真っ直ぐな良い音で舞台を踏み鳴らす揉ノ段、清涼な鈴を振り鳴らす鈴ノ段…全てが堂々と落ち着きがあり、説得力のある舞台。思わず頭を垂れてその鈴の音に聴き入りました。


◎鎮魂と招福、五穀豊穣、天下安寧を願う能楽。今、このタイミングで、千五郎師の三番三がかけられて、そしてそれを拝見できた有り難さに、沁みじみと感謝。


◎この日の午前中には祇園八坂神社の初能奉納「翁」でも三番三をお勤めだった千五郎師。1日で2度も三番三を舞うとは…!その持続力と集中力にも脱帽です。


◎大鼓の響きでその舞台の印象が変わってくる、と信じている(個人差あり)。山本哲也師の大鼓は、いつ聴いてもロックだわ。素敵だわ。


◎狂言と間狂言は茂山家。宗彦師の明るさ、茂師のおおどかさ、逸平師の場を邪魔せずきっちり役目を果たす手堅さ。花形狂言隊の頃を思い返すと、茂山家もそれぞれの個性と、良い意味での厚み、重みが出てきましたね。


◎文蔵氏のどこか浮遊感のある微けさのような儚さと芯の通った揺るぎなさ、いつ拝見しても背筋が伸びるよう。


◎銕之丞師の、舞台の空気を自在に掴み、変えていく圧倒的な大らかさ。


◎観世清和師(観世流宗家)の、佇まいの清澄感と圧倒的掌握感…!前シテでは柔らかくおっとりと、後シテでは力強さと神々しさ。有り難すぎる…。


◎ツレ坂口貴信師がお召しになっていた装束がとても素敵でした。ペールオレンジのような淡い優しい生地一面に小菊の意匠が施されていて、見ているだけで寿命延びる。(個人差あり


◎装束の意匠や合わせ方を拝見するのも、お能の醍醐味。狂言方の肩衣は大好物(笑)。この曲のこの役には、どんなお色と意匠を合わせるのかなー、この合わせ方には意味や決まりがあるのかなーと考えながら拝見するのが大好きです。


◎囃子方の絶妙な布陣(大事なことは2度繰り返す)。亀井広忠師(大鼓)&飯田清一師(小鼓)というこれ以上ないベテランの圧倒的な掛け合いに、杉信太朗師(笛)&小寺真佐人師(太鼓)という実力派中堅コンビが脇をがっちり締める。何と素晴らしいセッション。


◎そして一部の隙も乱れもない、亀井広忠師の完璧な大鼓の鳴り。ここぞという絶妙のポイントで、音の高さもボリュームも的確かつ完璧に打ち込まれるので、その胸のすくような気持ち良さと言ったら!好き…!(落ち着け


◎Mr.ロックな山本(哲)師に、Mr.パーフェクト亀井師。私の大好きな大鼓さん揃い踏み。何という至福…。


◎私が座っていたエリア限定でしょうが、見所(客席)男性の蝶ネクタイ率が高くて大変テンションが上がりました🎀


◎久しぶりに無心で舞台の音に耳を澄ませ、舞台で起きている瞬間瞬間に目を凝らす=舞台に熱中する、という体験が出来た時間でした。