アクション・ロマネスク
『カジノ・ロワイヤル ~我が名はボンド~』
原作/イアン・フレミング「007/カジノ・ロワイヤル」(白石朗訳、創元推理文庫刊)
脚本・演出/小池 修一郎
時は1968年、世界はアメリカとソ連を中心とする冷戦の最中にあった。パリでは学生や労働者たちを中心に「5月革命」と呼ばれる反体制デモが起き、鎮圧後過激派たちは「赤軍同盟」を名乗る地下組織に吸収されて行った。
イギリスが誇る秘密情報部「MI6」では、コードネーム「007」を持つ秘密情報部員ジェームズ・ボンドに、ル・シッフルと呼ばれるソ連のスパイを倒すよう指令が下される。ル・シッフルは5月革命の際、ソ連の組織から赤軍同盟に送る資金を使い込んで窮地に追い込まれたため、カジノで一攫千金を狙っていた。ボンドのミッションは、ギャンブルの腕を生かして彼に勝って資金源を断つことと、彼を生け捕りにして情報を吐かせること。ボンドはジャマイカの大金持ちになりすまし、フランス大西洋岸ロワイヤル・レゾーにあるホテル内の「カジノ・ロワイヤル」に乗り込む。折しも、ホテルではロマノフ家の遺族たちが集まり、次代の家長後継者を巡って争っていた。末裔の1人、ソルボンヌ大学の院生であるデルフィーヌは、赤軍同盟に逃れた過激派学生ミシェルの恋人であった。ギャンブルでボンドに負けたル・シッフルは、デルフィーヌが相続した財産を狙い、ボンドはデルフィーヌと関わりを持ち始める。
華麗なるカジノを舞台に、密かにめぐらされる陰謀と策略。CIAやフランスの情報局員、ソ連側の工作員も加わり、ボンドの行く手には次々と危機が襲いかかる…
クールでソリッドな真風涼帆が、ジェームズ・ボンドに扮し活躍する、宝塚歌劇ならではのゴージャスでロマンチックなミュージカル大作に、どうぞご期待ください。【公式HPより】
宝塚大劇場 (兵庫県)
2023年3月11日(土)〜4月17日(月)
観劇日
2023年3月30日(木)マチネ
2023年4月 6日(木)マチネ
2023年4月16日(日)マチネ
桜が満開の頃でした
映画のジェームズ・ボンドは男臭くてカッコイイんだけど。
宝塚版になると、華麗に美しくカッコよくなるのが良いんだよねぇ
オケさんボードにお名前があるのも、決して当たり前なことではないのだと。
珍しく1階席をGETしたのでパシャリ
宙組トップスター真風凉帆とトップ娘役の潤花の退団公演。
学生の団体さんが入る度に「あれはオトコやろ」「本物のオトコおるやん」という声の噂が聞こえてくる真風は、やっぱりカッコイイ
その真風が、役どころとして『超絶に色気のあるカッコイイしかない』ボンド役なんだから、そりゃもうたまらんでしょ
そして、その横でお転婆だけど、しっかりしたお嬢様の潤花のデルフィーヌ。
実はロマノフ家の末裔で財産の継承者
ロマノフ家といえば宙組
ってくらい、ご縁があるみたいですね。
歴史の繋がりを一つの組で紡いでいくのは、とても嬉しくて楽しいことだと思う。
そのデルフィーヌの彼氏が桜木みなとさんのミシェル。
革命のリーダーをやっている時は、若いけど骨のある熱い青年かと思いきや!
なんと及び腰な頼り無げな
でも、とっても素直で可愛らしいところのある青年
作品の中で、とってもチャーミングなアクセントになってましたね。
ボンドの敵役は、芹香斗亜さんのル・シッフル。
悪役というか、悪人というか。
フランスで暗躍する(だからフランス名なのよね)ソ連KGBのエージェント。
しかもバカラの名手だなんて、カッコイイしかないじゃん
KGBの資金を使い込んでしまったために一攫千金を狙うカジノが、この作品の舞台。
大きなルーレットを囲んで、カジノを楽しむ人々・・・。
そういえば、大阪にもカジノができるとかって話があったよね。いらんけど
イギリスのMI6、アメリカのCIA、ソ連のKGB、フランスの情報局は・・・SDECEというらしい。
各国のエージェントが対峙する中で、ロマノフ家の人々やル・シッフルを取り巻く人々が超個性的で笑わせてくれました
ル・シッフルの元愛人のアナベルと、ル・シッフルの配下で厳しい訓練を重ねている兵士たちが、「私が皇帝になる」という壮大で無謀な計画を全力で支持しているのが、なんとも面白い人たちだわ
♪るっしふ~る・うう~ううう~ううう るっしふ~る・・・♪
って、ロシア民謡の『カリンカ』ですね。
ロマノフ家のゲオルギ大公御一家は、ひとりひとり個性が溢れすぎてて
大公は何故か(小池先生だからだよね)エリザから♪我慢できな~い♪だし。
その大公のおバカな息子たちも、おバカ過ぎて可愛いし
デルフィーヌの妹たちも、おバカだし
特に記憶に残ったのが、若翔りつさんのドクトル・ツバイシュタインが超~強烈な印象
若翔さん、めっちゃいい味を出しつつ、超ええ声での歌唱がステキでした
この人たち、本当に面白い
戴冠式でラスプーチンに変装して登場してきたのが、誰かと思えばル・シッフル
初めて見た時は「マジか」と思わず声出ました
お芝居のラストは、パラシュートで降りてくるトップコンビが、昔の結婚式のゴンドラの様でそこでのデュエットの歌詞がまた涙を誘いますね。
そして、そこでの台詞で客席がキャベツ畑になっていて観に行くごとに、キャベツ色のお洋服や持ち物を持った方がいらっしゃるのを見るのも楽しみでした。
子どもの頃によく聞いた『COLD WAR』の歴史から各国のスパイ組織についての映像付きの説明など、あちこちに小池先生こだわりのスパイスが感じられる公演でした。
ショーもとことん魅力的
退団される皆さんがカッコよく美しく素敵に、そして明るく公演を楽しめるようにと、先生方の愛を感じられるのは本当に嬉しい。
レビューショップの入口辺りにあるショーケース