平安朝クライム
『応天の門』-若き日の菅原道真の事-
原作/灰原 薬「応天の門」(新潮社バンチコミックス刊)
脚本・演出/田渕 大輔
月刊コミックバンチで連載中の灰原薬氏による「応天の門」は、学問の神様と称される菅原道真と、平安の色男・在原業平が手を携え、都で起こる怪事件を次々と解決していく様を描く歴史サスペンス。2017年に文化庁メディア芸術祭マンガ部門で新人賞を受賞するなど、歴史漫画として高い評価を得るこの作品を、宝塚歌劇ならではの演出で舞台化致します。
藤原良房とその養嗣子・基経が朝廷の権力を掌握しつつあった平安初期。京の都では、月の子(ね)の日に「百鬼夜行」が通りを闊歩し、その姿を見た者を取り殺すという怪事件が頻発していた。幼き頃から秀才との誉れ高き文章生・菅原道真は、ひょんなことから知り合った検非違使の長・在原業平にその才気を見込まれ、この怪事件の捜査に協力する事となる。唐渡りの品を扱う勝気な女店主・昭姫(しょうき)らの協力の元、次第に事件の真相に近付いてゆく道真。だがその背景には、鬼や物の怪の仕業を装い暗躍する権力者たちの欲望が渦巻いていた…。
公演期間:2023年2月4日(土)〜3月6日(月)
観劇日:2月9日(木) 11:00
18日(土) 15:30
3月2日(木) 11:00
近頃、テレビドラマもそうですが、コミックが原作の舞台が多い気がします。
舞台は上演時間が限られているので、原作がコミックだと3巻から4巻あたりまでになるでしょうか。
今回も予習のために読み始めると、なかなか面白くて読み進めてしまいました。
いざ観劇すると、《百鬼夜行》を軸に40話の藤原多美子さまの入内のあたりまでの色々が盛り込まれていましたね。
40話というと第7巻のようです。
まず幕開きで、業平が人目を忍んで通っていた人妻の家からの帰り道に、門の上で月明かりを頼りに書を読んでいる道真と出会う場面は、学問好きの道真と女ったらしの業平という、この二人の象徴的な場面。
月明かりに照らされる道真のシルエットの美しいことっ
そこから、朱雀大路を羅城門から大内裏の正門である応天門までを一気にドローンで映し出したかような、まるで大河ドラマのオープニングのような映像と音楽に心が沸き立ちます
『政とは即ち権謀術数』という言葉が盛り込まれた歌が繰り返される貴族の方々。
そこへ楚々と現れる幼帝の可愛らしさよ
丸顔で可愛らしい千海華蘭さんが、純真で無垢な幼い御上にしか見えない
その周りにいる貴族たちのなんと浅ましい腹黒さよ
上月るうさん演じる藤原良房と、風間柚乃演じる藤原基経は一挙手一投足ワルイ空気を纏っていらっしゃる
るうさん良房は目線やお顔の角度など、全身から醸し出される静かに燃え滾る出世欲が鈍く光る刃のよう。
るうさんのコミカルなお芝居が大好きなので、この退団公演でそれが見られないのが残念
菅原道真(月城かなと)、在原業平(鳳月杏)、昭姫(海野美月)の関係性が、いつもの宝塚らしいロマンスが無いところをどうするのかと思っていましたが。
あちこちでが飛び交う場面は業平さまの担当ということですね
くっきりパッチリ大きなくりくりお目目のれいこちゃんが、あの一重で三白眼の道真の目をどうするのかしらと思っていましたが、コミックの道真の表情になってました
他の登場人物も、コミックから抜け出してきたかのようにそのままでした。
舞台のお話の軸となる《百鬼夜行》の件は一応解決したことになっているけれど、藤原家への疑惑や、吉祥丸と基経との関わり、さらには入内した多美子さまの寝屋の下に藁人形を打ち付けている者がいるところまで演じられていて、ひとつの事が解決したとて問題は引き続き起きていて、また業平と道真が昭姫と一緒に問題を解き明かしていくのだろうと想像が膨らみます。
コミックも面白いけれど、今回の舞台化された公演も、とても楽しく美しく素敵でした
ラテン グルーヴ
『Deep Sea -海神たちのカルナバル-』
作・演出/稲葉 太地
海底の奥深く、地球のマントルに近い熱くたぎる場所で海の神が治める世界のカルナバルが幕を開ける!海底神殿に集う海神たちが、見たこともないような深海の美を繰り広げる情熱のカルナバル。月城かなとを中心とした月組生達の魅力はじけるラテンショーで、熱いグルーヴに満ちた魅惑の世界をお届け致します。
トップスターれいこちゃんの開演アナウンス「ダイブ!」からの、るうさんのナレーション・・・泣く
からの、チョンパで涙が引っ込み、一気にキラキラな世界が広がるのがたまらんっ
ラテンのショーなので、お衣装はもちろん袖と裾に大きなフリルがついたものですわね。
あのお衣装でツーステップ踏みながら銀橋へと出てこられる皆さまの足元が気になって気になって
ほとんどのお衣装が《お魚》をイメージしてるのか、お魚のひれを想像するデザインになっていて。
プロローグとフィナーレのお衣装はどうしても【ミノカサゴ】に見えて仕方なかったですわ
ミノカサゴ・・・ひれがトゲトゲしてますが可愛いのですょ
深海のカルナバルなので、お魚さん達の祭典で良いのでしょうね。
総スパンコールのお衣装のキラキラに、手拍子で一気に盛り上がります
この公演で退団されてしまう上月るうさんと、白雪さち花さんのデュエットがオトナしっとり。
周りが見えないほど、るうさんにオペグラでロックオンでした👀
ここからまた大勢でプロローグの曲に戻って、「叫ぼう!Deep Sea!」
ちなつ(鳳月杏)のソロ歌はバックにクラゲの映像が流れていて、メロディも空気の泡が上へと上がっていくようなイメージ。
難しそうな曲だけど、公演後に何となく口ずさんでいました
終盤の曲もだけど、ちなつは難曲の担当だったなぁ。でもさすがの歌うまさんです
強気な人魚姫のうみちゃんは魔法が解けて自由を得たのね
それはちなつが魔法を解いたということでよいのかしら?
魔法使いちなつも、お衣装が早変わり
ここでも退団する千海華蘭くんと歌うま姫たち麗千里ちゃんと桃歌雪ちゃんとの歌が最高に耳福
れいこちゃんが、何人もの美女をつれて銀橋へ。
みんな可愛いお衣装で、キレのあるお尻ふりふり。
そこへ割って入る男どもよ
おだちんがれいこちゃんとジャンケンして、おだちんがキョキで買っちゃうのね
そのあと、落ち込んじゃって床に字を書いてイジイジしてるトップスターれいこちゃん
そんなれいこちゃんを放っとけはしないわよね。
そこへ女王うみちゃん登場 で、やっぱりれいこちゃんの勝ち~っ
天紫珠李ちゃん・礼華はるくん・彩海せらくんのトリオはコントなのか、なんだかおもしろい歌詞でしたね。
そこからの盛り上がりもすごいすごい
若手たちの熱くて元気いっぱいなダンスと掛け声合戦が眩しい
手拍子も熱が入って、盛り上がる~
からの~怪しげな雰囲気の秘密の花園
おだちん(風間柚乃)のソロは、結構な高音まで響かせて、長めのソロでしたね。
その場面での、ちなつの女装・・・いえ女役のロングスカートのスリットから見える長く美しい御身足
ひらりふわりとスカート捌きも美しく、なんと美しい光景でしたでしょう
銀橋を渡るうみちゃんのソロは、海の中で泡が昇っていく光景が見えるようでした。
だんだん泡が多く激しくなる感じがしたかと思ったら、マントル
みなさん激しく力強く踊られてて、見入ってしまいました。
可愛いロケットを紹介したかと思ったら、ロケットの後に大階段に現れるれいこちゃん
渋いベサメムーチョがたまらんやん。
男役さん達が現れたら、また掛け声合戦で、カッコイイしかないし
トップ二人のデュエダンはタンゴ。
このお二人のタンゴは本当に素敵でカッコイイ
ツンデレなれいこちゃんに、とまどいつつ翻弄されてるうみちゃん・・・良き良き
エトワールは5人の役替わり。
私の観劇回では、天愛るりあちゃん、桃歌雪ちゃん、きよら羽龍ちゃんでした。
3人とも声色も音程も違っていて、とってもキラキラでした
お芝居はしっとりと日本物で、ショーはキラキラぎらぎらなラテンショー。
180度違う面を見られるのも宝塚の嬉しいところですね~。
月組さんの団結力と、そのパワーをいただいた公演でした。
退団される方々もしっかりと瞼に焼き付けました。
ありがとうございました