大した考えもない生活をしてる私。それは今でも大して変わらない。人は大人になるってどういう事なのかわからないぐらい子供な私。それは今でも同じなのだが、当時はそれなりに悩んでやった事。そして決断した事だ。

計画的に物事を進めることはとても大切。だけど勢いってものが決断させる勇気になる。それもまた事実。不安ばかり口にする私だが、なんとかなるさって気持ち。これも私は大切だと思う。

売りに出した我が家。価格設定は相場並み。このまま売れたら約500万の利益損。でも、なんだろな。それでもいいかと思って売りに出した。

反応はというと、簡単にあっさりあった。見にきた方に値切られる。断ろうか?と思った。ただ、こっちも相場はわかっていて少し強めに出したのもある。その分はうちが負けてもいいと思えた。

売買はあっさり成立してしまった。でも、住み替える家は確保出来てなかった。現金化してアパート暮らしでもいいかと思えた。それは住宅ローンの圧力に耐えきれなくなった私の本音だった。

家探しは難航した。予算に合わない。あったところで手狭だったりした。見に行ったところの中にやたら広い家があった。建売りなのにそれは規格外。リフォームすれば二世帯住宅も可能。それが売りの建売りだった。

他のところよりも家の作りは良さそう。建売りだからコストダウンしてるところは当然ある。それは立地。起伏の激しい市内の中でそこは低地であった。浸水した事はないと不動産屋は言う。ホントか?確かになかった。今後ないとは言えないが今までなかったのは本当だ。

妻はここが気に入ったと話す。値段は予算外だが、出せないほどではない。ここにしよう。と思ったところに不動産屋のなんと言うか不審な動き。なんだコイツ?と思い始めた。

マンションを売りに出したところから買うつもりだった。どちらにも仲介手数料が発生する。一回の売買で100万超えの手数料が出る。それなりに信頼して取り引きしたい。それが本音。だが、コイツマンション売った方に肩入れしすぎや。都合のいい事言いつつうちの退去日を早めようとしやがった。当然苛立つ私。もうここで買わない!と思って店長さんと話す。担当変えてくれと。そして、家を買う仲介業者を変更すると。色々と労力はかかったが、買う方は変えられた。担当も外れてもらえた。店長が責任持ってやると言うので売買流して手数料払おうかとも思ったけど、そのまま売買続行にする。

そして、購入する不動産を別の仲介業者から購入した。ただ、不動産屋のチェンジで私は仲介手数料を浮かす事に成功した。金額にして120万ちょっと。これはナイスだった。

どちらも売買が成立してあとは決済。借り入れ審査も無事通過。一軒家を買うのが3月15日。売り渡しが4月10日のスケジュール。そこで問題が起こる。そう。東日本大地震だ。

その日は日勤だった。東日本大地震が起きた時私は工場の司令室にいた。そこに大きな揺れ。非常停止!の声が響く中で私は非常停止をやろうと試みる。やりたくても出来ない。やっとの思いで非常停止を押して作業に出てる人達に安否確認と参集連絡。刻々と時間は過ぎる中で私は娘を案じてた。大丈夫か?と。

電車はストップ。道路はテールランプで埋め尽くされてるのが会社から見えた。どうやっても帰りたい。何がなんでも。

そうして21時に半分の人員は帰るように指示が出る。ちょっと待て。ここに居る大半は電車通勤だぞ?帰りたくても電車止まって帰れないぞ?と。今度は残る社員の人選で揉め出した。人は自分が行き場のないところに投げ出されると思うと我先にとなるもんなんだな。大地震で学んだ事の一つ。私は「失礼しまーす!」と残らない意思表示のつもりで声かけて会社を後にしようとした。その時面白くないと思った人から「お前明日夜勤だろーが!日勤帯から働けよ!」と怒鳴られた。それももういい。帰れるのなら。「わかりました!明日きます。」私はさっさとバイクに乗り会社を後にする。

道路は人と車で溢れ返りまるでお祭りに行くのか?はたまた花火大会見に行く行列?というような感じだった。隙間縫って前に。らちがあかん。わき道へ。至る所通行止め。仕方ない。さらに遠回り。21時に会社出たのに帰り着いたのは0時。それでも子供の顔見て嫁さんの顔見てホッとした。外には不気味な防災無線の音がした。

翌日は5時半に家を出て車にガソリンを入れに行った。何故かそうした方がいいと直感だ。バイクも満タンにして出勤。見たことないぐらい混雑してたが日勤時間には到着出来た。余震のある中で割れたガラスの片付けをやる。100枚超えて割れてたので、段ボールとかで応急処置するだけで一日終わるレベルだった。

今度は地震による取り引き停止が気になってくる。仕事を終えてマンションの破損箇所探し。大きなものはなかった。また、買う住宅にしても同じだった。取り引き停止にしても今回は違約金は発生しない事は言われてた。そりゃそうよね。前代未聞だもの。ただ、それでも相手側は買うつもりらしく取り引き続行が決まった。よって買う事もそのまま決定。世の中が目まぐるしく変わる中での取り引きになった。

マンションの売却に関しては付帯事項がついた。地震による損害補修について管理費負担金が発生した場合は折半とすると言う文言だった。これは不動産屋が地震以降の売買に関して甲と乙が揉めないようにするため作ったものだった。これをみんな書いてもらってます。と言われて「はいそうですか。」と書かない私。「この趣旨はわかりました。ただ、ここに期限がないのは問題があります。これは例えば10年後に大規模修繕とかで地震のためと言われたらうちに突然請求書がやってくるって事ですよね?期限がないとここにはサインしません。せいぜい一年ぐらいがいいところでしょう。それ以上補修に充てる準備金を貯蓄しておく事は困難です」と返した。買う側も了承した事で期限付きの覚え書きを交わした。

お金と契約は考えてやらないと不動産屋さんにやられちゃうよね。これもまた人生の大きな学びになった。