今日は「良い歌詞とは何か」に向き合ってみようと思います。
あなたにとって「良い歌詞」とは何ですか?
「言葉が選びが良い」や「気持ちが沈んだときに励ましてくれる」のような良い歌詞に対するぼんやりとした"定義"を持っている人もいれば、ミスチルの~って曲!みたいに特定の曲を例に出して説明する人もいるかもしれません。
しかも、「良い歌詞」の解釈は人によって異なり、「これが正解だ!」なんてものもないですよね。
ということで、一言でいえば良い歌詞って十人十色なんです。
でもそれではこの記事を書く意味がよくわからなくなってしまうので、少し発想を変えてこのお題に向き合ってみようと思います。
普通は「良い歌詞」を考えるときは、音楽の聴き手という立場から考えると思うのですが、
今回は音楽のリスナーからの視点ではなく、歌詞の書き手の視点から良い歌詞について考えていきます!
僕が歌詞を書く中で実感していること・意識していることは
「他者になりきることはできない」ということです。
僕には僕から見える世界や僕が抱いている気持ちしか分かりませんし、他者の視点に立つことは不可能です。
だからこそ歌詞を書く上では、自分の気持ちにどれだけ向き合えるかが大切になってくると思います。
「皆さんを励ますための歌です」とか「みんなの力になりたい」と言っているミュージシャンっていますけど、そういう歌って極端に良いか、凄い綺麗ごとに聞こえるかの二つに割れますよね。この二つの中にある大きな違いは、「聴き手を応援するための言葉を書いている」かと、「応援したい人を思う自分の気持ちに向き合っている」かの違いであると思います。つまり、単に他者を鼓舞するための歌か、他者を応援する自分に向き合った歌かの違いです。「この二つって同じじゃん」って思うかもしれませんけど、歌詞の書き手からすれば歴然とした差があります。前者は他人事や綺麗事になりやすいですが、後者の方か自分の気持ちを歌詞にのせやすく、自分の本音に近い言葉を引き出すことができるんです。要するに、後者は自分に向き合って歌詞を書いているということです。
例えば、「君は自分らしくいていいよ」という歌詞ってよくみると思うのですが、たまに凄い薄っぺらく聞こえませんか?たぶんそういう曲って、「君は君でいれば正解だよ」とか「君は間違っていないよ」とかのプラス面だけ並べているだけで、なんで自分らしくいれないかという答えをガン無視していると思うんです。僕はそういう曲聴いたら、「自分らしくいれないから困ってんだよ」って思いますマジで。
この「自分らしくあればいい」という歌詞を上手く表現した例としては、尾崎豊さんの「僕が僕であるために」だと思います。まずタイトルから凄いですよね、「僕が僕であるために」ですよ、「自分らしくあればいい」なんて言葉を使わずに「僕らは僕らしく生きていたい」という気持ちが見えてきますよね。そう、「自分らしくいたい」は、その言葉そのものが使われてなくても、もう歌詞の行間にきちっと表れているんです。
この曲のサビの歌詞は以下のようになってます。
“僕が僕であるために勝ち続けなきゃいけない
正しいものは何なのか
それがこの胸に解るまで
僕は街にのまれて
少し心許しながら
この冷たい街の風に歌い続けてる”
ほんといい歌詞ですよね。
「僕らしくありたい」という思いを持ちながら、そうなれない自分自身に向き合ってます。
まず、歌詞冒頭の「勝ち続けなきゃいけない」で僕らしくいることの厳しさを実感し、その意味を自身に問いかけています。
しかも、その中で感じた寂しさや虚しさを、「冷たい街」や「街にのまれる」という情景描写を通じて表現していますね。
天才です。。。
いかがですか?
きっと、この書き手による自分自身への向き合い方というのは様々な歌の中に垣間見えると思うので、次に音楽を聴くとき、そこに意識しながらぜひ聴いてみてください。僕はメロディーよりも歌詞に比重を置いて音楽を聴くので、結構そういうところを大事にして聴いています。
みなさんもぜひ。
ちなみに僕が書いたこの記事は「良い歌詞」についてであって、売れる歌(売れる歌詞)ではありません。「売れる歌」となるためには、その歌詞がどれだけ多くの人に共感されるかになると思います。自分の気持ちと向き合って、その気持ちが上手く表現できた歌詞であっても、それが一部の人にしか共感されなかった場合は、多くの人から受け入れられるのは難しいでしょう。なので、この世で誰もが知る名曲の売れた曲の良い歌詞というのは、書き手が向き合った自分の気持ちが上手く文面に表現されている上に、それが多くの人々の心の奥底に潜在している"本質"のようなものを上手く引き出し共感させることができたものではないかなと思います。
最後に、僕のうたを紹介させてください。
多くの人に共感してもらえるかは分かりませんが、自分で書いた曲であるにも関わらず、気持ちが沈んだときはよくきいています。
きちんと自分の気持ちに向き合った書いたから、そしてそれがうまく言葉にできているからと思います。
下記URLです。ぜひ覗いてみてください。
それではまた