「白隠展 HAKUIN 禅画に込めたメッセージ」
ブロガーナイト<白隠の魅力に開眼せよ!!>に参加しました。
この展覧会の監修者・山下裕二さん、主催者の広瀬麻美さんと
美術blog「青い日記帳」のTakさんの3人のトークタイムには
展覧会が企画されるまでや、展覧会開催までのご苦労
そしてもちろん白隠への熱い思い!と盛りだくさんのお話が
スライド画像とともに次から次へと出てきました。
今回はこの「半身達磨」の出品が決まったからこそ
開催できたと言える展覧会なのだそうです。
たくさんの作品を残した白隠さんですが、
売るためにではなく、禅の教えを伝えるために描いたものなので
それを持っているお寺にとっては大切な信仰物であり、お宝です。
お寺さんだけでなく檀家さんも交えて話し合いを続け
この作品もやっとのことで展示がOKになったのだとか。
各地に散らばった白隠さんの作品をこれだけの量集めるのは
本当に大変だったんだろうなぁ。
そうやって集めた作品だからこそ
作品が収められたケースに透明度の高いアクリル板を使用したり
防湿剤を作品の裏に隠したり
展示の仕方にも相当なこだわりがそこここに。
トークショーが行われた部屋は、
達磨の絵だけを集めた六角形のつくりになっていました。
トークショーの間は達磨さんたちに囲まれて話を聞いていたわけですが
一斉に睨まれて緊張し、脂汗が出てくる・・・ことは全くありません。
入り口近くにあった「隻履達磨」さんなんて
中国で亡くなって埋葬された達磨さんが幽霊になってインドに戻ってきたのですが
靴を片方忘れてきてしまい
「てへ、忘れてきちゃった」なんて感じで少し照れているようにも見えます。
この達磨さんたちは、白隠さんの自画像とも言われています。
確かにぎょろっとした目、似ていました。
ちなみにこちらの「すたすた坊主」も自画像と言われているとか。
物乞いをしながら、金持ちの代わりに代参する坊主らしいのですが
なんとも力の抜けた良いお顔。
このすたすた坊主、
展覧会サイトの一番下をすたすた歩き回っています。
何度見ても、かわいい。
白隠さんの描くものは、
のびのびと勢いのある線で、人なつっこいような顔をしていて
尖った感じや威圧的な感じは全くしません。
「布袋解開」では、布袋さんがいつも重そうに持っている袋の中が
実はからっぽだというのが描かれています。
茶目っ気たっぷりの顔で「空っぽだよ~」と袋を開いた布袋さん。
でも、そこには「何もないからこそ重くて、無だからこそ全てが生まれる」
という教えが描かれているのだそう。
文字が分からなくても
この絵を見せられて、そう説明されたら納得できそうな気がします。
ちょっと雰囲気が違ったのが菩薩さまを描いたシリーズ。
「蓮池観音」の観音さまは、丁寧に描いているよう。
白隠さんの観音さまは、どれも熟女っぽく描かれていて
これは幼くして別れたお母さんを描いているのではというお話もありました。
まぶたの母を描いたのなら、特別丁寧になるのもわかるような。
今回初公開の「布袋吹於福」
ボロボロの状態だったので、この展示のために修復されたのだそう。
すっきりきれいになってこの絵の福パワーも増したはず。
笑ってしまったのが「鍾馗鬼味噌」
鍾馗さまが鬼をすり鉢ですって鬼味噌を作っている恐ろしい図なのですが
一生懸命な身振りのわりに、鍾馗様はすり鉢を見ずにどこか上の空、
それを手伝う息子が、裸ん坊のとっちゃん坊風で悪巧みしているかのようで、
しかも、鬼達はお風呂にでも入っているみたい。
絵のほかにも、書も展示してありました。
その書もやはり頭でっかちで白隠さんらしい感じ。
最初にお話を聞いたからこそ、
さらに深く鑑賞できたように思います。
ブロガーナイト、たっぷり楽しませていただきました。
ありがとうございました!
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白隠展 HAKUIN 禅画に込めたメッセージ
会場:Bunkamuraザ・ミュージアム
会期:2012年12月22日(土)~2013年2月24日(日)
開館時間:10:00-19:00(毎週金・土曜日21:00まで)
休館日:1月1日(火・祝)のみ