パンナムから転じたF社の本社上司のビルは、巨漢でした。
    身長が、6フィート4インチ(1㍍93㌢)で、体重が250ポンド(113㌔)も
    あったのですから。

    実は、ロス本社に出張して分かった事ですが、ビルはそれなりの大食漢では
    あったのです。
    ブレックファーストミーティングと称して、私の滞在先ホテルで朝食をご一緒する
    毎日でしたが、何と既に自宅では十分な朝食を摂って来たというのです。
      「トミー、家内には絶対に内緒だぞ
    と何度も釘を刺されました。

    本社では、午前10時と午後3時に全社挙げてのコーヒーブレークタイムがあり
    係員がベルを打ち鳴らしながら各フロアーを手押しワゴンで巡回するのです。
    そのワゴンには、アメリカ人が大好きなドーナツやケーキ、各種クッキーなどが
    テンコ盛りで、ビルはベルの音を聴きつけるや一目散に駆け付けて大量買い。
    あっと言う間も無く完食する有り様だったのです。


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高カロリーですね

    昼食は当然ですが、社員カフェテリア、又は近くのレストランまで出掛けて
    普通に食べておりました。何度かご一緒したビッグボーイでは、必ず山盛りの
    フレンチフライが添えられておりましたよ。
    夕食のデザートには、躊躇なく巨大なパンケーキを注文しておりました。
    人様の倍以上のカロリーを毎食取る訳ですから、巨漢になるのは必然で。

    米国の俗説に「デブは、出世出来ない」と言うのが有ります。
    つまり、「自己管理も出来ない人が、人様の上には立てない」と言うのです。
    ところが、後にバンカメ(Bank of America)のロンドン支店へ転じたビルは
    副社長にまで出世した稀有な存在となったのです。嗚呼。

    私が知る限り、巨漢で出世した米国人に巡り合った体験は、殆ど在りません。
    そう言えば、あの有名な「ビル ゲイツ」も痩身でしたね。