過日、欧州でおぞましい航空機事故が発生しました。
ブラックボックスの解析が進捗する毎に追加発表され
副操縦士の自殺行為だった事が、明白になりました。
しかも、事故以前に自宅でのシミュレーションや実機での急降下などの
記録が有ったと言うのですから。
勿論、論外のお話ですが。
さて、現役の頃、海外出張や家族旅行での離着陸累計が、2000回以上
にも達しましたが、幸い私には重大事故に遭遇した体験が一度も
有りませんでした。嗚呼、何と言う幸運?
いいえ、地上の如何なる乗り物よりも飛行機の方が、むしろ安全な乗り物と
言う事が言えると思うのですが。違うでしょうか?
そう言えば、たった一度の体験ですが、濃霧の悪条件の中
韓国の金浦国際空港でのゴーアラウンド(着陸復行)経験があります。
その時私は、自社便の747F200のアッパーデッキに設けられた
ファーストクラスに乗っていたのですが、何時もと違う窓外の景色に
違和感を覚え、何と無く恐怖心が芽生えたのです。
季節は冬で良く濃霧が発生する時期の正にその濃霧の中を
着陸するという異常事態だったのでした。
主脚の降りる音を聞きながら、そろそろ着陸態勢に入ったのだと
自問自答していると、突然機長からのアナウンスが。
「当機はゴーアラウンドする」
すると間髪を入れずに轟音を響かせて急上昇し
やがてゆっくりと上空で旋回すると見事な着陸を。
その瞬間、私が思わず拍手した事を鮮明に想い出しました。
先日のアシアナ航空162便の広島空港での着陸失敗事故は
誠に残念な出来事でした。
事故発生から約1カ月後の運輸安全委員会の発表です。
フライトレコーダーの分析結果,機長は着陸前の操作で自動操縦から
手動操縦に切り替えた後、通例よりも低い高度で進入し、機体がアンテナに
接触する2秒前に着陸のやり直しを試みていた。
嗚呼、何と言うことでしょうか。
その機長の間一髪でのゴーアラウンド判断が、事故に繋がるか
安全に着陸するかの瀬戸際だったのは、言うまでも有りません。