この畳表を斬ったら刀が折れたという記事を見て思い出した事がある。

 

むかーし、他流の道場に遊びに行って試し斬りをしていたある日

同年代のYさんが昭和中期に作成された刀で試し斬りをしていた。


彼は6段の腕前で畳表をスッパスパと流麗に斬っており、見ていて安心感のある人で
その日はとうとう「よし!この刀も長く使ってるしいい加減研ぎに出したいから最後に竹を斬ろう!
竹を斬ってこの刀は試斬を引退させる。」
と意を決したようだった。

しょーがねーなーとわざわざ普段は使わない竹を用意し、道場にある竹を立てる埃を被った試斬台を引っ張り出し

直径4センチ程の竹を立てて、いざ!と斬り込んだ。

…そして彼の刀は竹に食い込んで根本からポッキリ折れてしまったのだ。


キンッ!という呆気ないような音がしたと思ったら、刀身が竹に食い込んだまま彼は柄だけを持っていた。

 

幸い刀身がぶっ飛んで怪我人が出るような事も無かったので良かった。

 

恐らく、彼が長年畳表斬りに使っていたため刀身に負荷がかかっていたのだろう。

竹試斬は負荷が大きいため、それがトドメになったのかなと思う。

え?嘘やろ!?噂には聞いてたけど現代刀ってこんな脆いん!?と、当時は本人も僕も大変びっくりしたものだ。

当時はマジかー、現代刀ってこんな脆いんかー!!
と大変ショックを受けはしたが、それを理解している方々はちゃんと丈夫な現代刀を作る人の作品で竹なんかを斬っているようで
一度だけ、師範クラスの方から愛刀の現代刀(平成3年作)をお借りして竹を斬った事があったが何ら問題なくスッパリと竹が斬れた。

その師範クラスの方は
「現代刀はよく選ばないとダメだよー、8割くらいは脆い刀だからね。同じ流派や親子の刀でも丈夫さについては別物だから。」
と笑いながら言っていた。

その方は70振りくらい刀をお持ちなので実験を繰り返したんだろうなぁと思う。
 

やっぱり竹試斬はよくよく刀を選ばないと危ないなぁというお話。