自分の道場に刃筋を合わせるのが得意ではなく、畳表試斬の際にパワーで無理やり斬り抜ける人がいる。

 

先重ねが薄めの刀を使用しているため、しばしば刀を曲げているが曲がりは直せる。

しかし柄の方がガタガタになり、柄を新調して数ヶ月なのに茎がカタカタと踊る状態になっている。

 

刃筋が狂った状態で無理やり畳表を斬り抜けると、刀身には弾力があって捻れたりしなったりしながら斬り進めるものの、柄はしなったりしないため衝撃や負荷はとても大きいのだろう。

 

パワーで無理に斬らず刃筋が通る人は、斬り損じて刀身が曲がる事はあれども柄にガタつきは出ていない。

 

やはり刀に負荷がかかるような使い方をすると、まず柄からダメになっていくのだなと思う。

 

戦時中の刀は柄の故障が一番多かったお話。

 

こちら、光が透けるくらいに薄い柄下地の脇差しで170回は畳表を斬る動画。

 

光が透ける程に薄い柄下地

 

しかもめちゃくちゃ茎が短い

 

所謂、強度面での不安から試し斬りに使ってはいけない仕様のオンパレードだったが

動画で特に柄が破損したりガタツキが出ている様子は無かった。

 

多少の斬り損じはあったが、それでも問題無かった。

柄巻きや鮫皮巻きによる補強があったのも要因だと考える、もし短冊鮫皮でこの薄い柄下地であれすぐに破損したと思う。

 

土壇斬りや竹試斬といった

もっと柄に負担のかかる使い方をしない限り、案外大丈夫なのかもしれない。

売り物の刀にひけ傷が入るような抜き方をしてトラブルになった居合道家のお話。

 

 

 

美術刀剣として販売をしている刀には上等な美術研磨が工作されている事も多い。

 

研磨代だけで脇差しで20万円以上

刀では30万円は下らないだろう。

 

その手間暇お金をかけた美術研磨がお客さんの雑な扱いでパーになったらそりゃ怒るよと。

 

そんな雑な抜き方を店員さんから注意されたお客さんは

「何を言うてるんや自分は範士八段の先生やぞ!

そんなに言うんやったらこれ買えばええんやろ!」って逆ギレするわで、もうめちゃくちゃだ笑

 

しかしきちんとした刀剣店としてのプライドからか

「あんたみたいな刀の扱い方を知らん人に売る刀は無い!!」と、お店は刀を売らなかったそうな。

 

相手が誰であれ美術刀剣であれば一振り売れば結構な利益になるであろうに、刀剣店としてのプライドを見せたなと思う。

 

改めて、自分も人様の刀を拝見する時には気を付けようと思う。

今まで刀の取り扱いでトラブルになったことはないが、これからも無いとは限らない。

 

何事も基本を守っていかなくては。

https://www.touken-world.jp/tips/10009/