とある往年の名曲を改めて聴き直してみた。

Toto「Georgy Porgy」

ボズ・スキャッグスのアルバム「Silk Degrees」に参加していたスタジオミュージシャン(デビッド・ペイチ《Key》とジェフ・ポッカロ《Dr》が中心)が母体となり結成されたアメリカのロックバンド、TOTO「ロックバンド」と書いたが、ちょっとしっくりこないな。彼らが歌ってきた音たちは実に様々なフレーバーのごった煮。思いきって「ポップバンド」と言ってもいいし、「AOR」と言ってもいい。もっと言ってしまえば「ジャズ・フュージョン」でも良さそうだ。まぁ、そんなカテゴリーは置いとくとして。残念ながら2008年に公式サイトで正式に解散が発表されてしまったが、今なお色んな場面で耳にすることが多いスーパーバンド、それが、TOTOである。
最近、そんなTOTOの作品をふと聴きたくなった。
「Rosanna」「Africa」「I'll Be Over You」「Hold The Line」など数々の代表曲がある中で、今回群を抜いて惚れ込んだ曲が1stアルバム「ToTo」(1978)に収録されている「Georgy Porgy」
イントロはいたってAOR風な始まり。
自然と耳に入ってくるが、動作が止まるほどではない。
が、
サビのコーラスを聴いたときに、止まった。
そう、あのソウル界のディーヴァ、Cheryl Lynnだ。(注釈★下記参照)

スティーヴ・ルカサーの優しいボーカルからフェイドインで入ってくる彼女のソウルフルな歌声はなんともグルーヴィー。その2人が織り成すグルーヴを決して邪魔しないようにと、どこまでも流れていきそうなソフトでシルキーな演奏。しばし時間を忘れ、耳を奪われる。
なんなんだ、このスタイリッシュさ。
これが30年以上も前の曲とは・・・。
信じられない出来映え。とっても都会的。計算された完璧な作品なのだけれど、そのような堅苦しさを全く感じさせないスムージーなサウンド。

この曲の中身も気になった。

「Georgy Porgy」とはマザーグースの有名な童歌に出てくる少年の名前。女の子にキスをして泣かせてしまうが、別の男の子がやって来たらすぐさま逃げちゃった!というちょっと情けないboy=ジョージーポージー。サビの部分で歌われているのは、その童歌の一節。モテモテの所謂「いい女」に惚れてしまった「僕」。「『キミは僕だけの女』なんて言うんじゃなかった、キミを抱く男は僕だけじゃないのに・・・!」という、ちょっぴり切なくどこかナヨナヨしい「男心」を見事にサラッと歌いあげている。TOTOの数ある作品の中でも少し異色を放つこの「Georgy Porgy」が、私は大好きでたまらない。最近頭の中で流れる頻度ナンバーワンのヘビーローテーション・ソング♪

ちょっぴりお茶目な歌詞に耳を傾けながらアダルト・オリエンティッド・ソウル(AOS←勝手に作ってみた★)の世界を今一度存分に味わってみてほしい。

★注釈・・・彼女のファースト・アルバム『CHERYL LYNN』は、TOTOのマーティとデヴィッドのペイチ親子がプロデュース、スティーヴ・ルカサーもスタジオミュージシャンとして参加している。