またひとつ音楽史に名を刻むライブが現れた。

「3 Great American Voices」

そう、今年の夏頃からすでに騒がれていたライブイベント、3人の歌姫:Mary J. Blige、Fergie、Carol Kingの夢の共演だビックリマーク今月5日から大阪、埼玉、東京を回った全5ステージ。

昨日の最終公演@日本武道館に足を運んできた。


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19時5分―ほぼ定刻通りに始まり、まずはR&B/Hip Hopシーンを代表するディーヴァ、Mary J. Bligeがステージに登場する。
圧倒的な歌唱力で歌いきったという感じ。最終日だからか一曲一曲に熱がこもっている。最後の曲ではステージに倒れこんだり、うさぎ跳び?しながら歌ったり・・・とそりゃもう「凄まじい」の一言。個人的にシビれた(←古い?)のは、高校の頃毎日のように聴いていた「Real Love」とTommyの愛してやまないU2・ボーノとのデュエット「One」だろうか。しかし、全曲あまりにも力強く歌い上げたせい?で、後半は少々聴いてるこちらが疲れてしまった感がある。もうちょっと肩の力を抜いた歌声も鑑賞してみたかったな。

 しばしのステージ転換のあと現れたのは・・・Fergieキスマーク超ホット・ミニにへそ出し、ハイソックス&ネクタイというエロ・スクールガール風の出で立ちで登場。BEPの紅一点的存在でかねてから注目されてはいたが、グループの一員だけでは物足りずソロ活動もスタート。今回はなんと世界初のソロライブパフォーマンスということで、その気合が十二分に感じられた。

とにかく、すごい。

一流のダンサーたちとともに踊って、飛んで、回って、歌って・・・え?回って?そう、歌いながら、つまり片手はマイクを握りながら前転も披露してくれたり、と大サービス!

ひぇー!どんだけ~アクロバティック!?

余計な事は話さないMCがライブ全体のテンポを軽快にしていて、とってもグルーヴィー。一瞬たりともオーディエンスを飽きさせない展開は、もはやライブというよりエンターテイメント・ショーだ。完ペキ主義な彼女の一面がうかがえる。「エロティック」な雰囲気でも注目されているファーギーだけれど、そのセクシーさが決して下品に見えない。男性はもちろん女性も彼女のフェロモンにメロメロである。

 セットリストも素晴らしく計算されていた。BEPのメドレーあり、バラードあり、ロックあり、レゲエあり・・・

ひぇー!どんだけ~ジャンルレス!?

他に類を見ないマルチ・ディーヴァの誕生を目の当たりにした夜だった。もはやその勢いは誰にも止められないビックリマーク圧倒的なパフォーマンスに120点満点ビックリマーク大・大・大満足アップ!!


気を取り直して最後のステージに想いを馳せる。(何に気を取り直してか、については後述の番外編を参照)

 ラストを飾るのは初来日から17年ぶりとなる世界の歌姫、キャロル・キング。65歳になるキャロルは袖からしっとりと登場。ゆっくりピアノの前に腰をおろし歌い出したのは「Home Again」。個人的に一番聴きたかったナンバーが一曲目、一気に涙がこみ上げてきた。彼女のハスキーで温かみのある歌声は健在だ。その後もピアノとギターのみというシンプルな構成で展開されていく。MCパートではその場にいた全員が分かるようにゆっくりと英語(ときどき日本語)でこう話しかけてくれた。

「私のリビングルームへようこそ。」

 キャロルが奏でるピアノの音色はときにやさしく、ときに激しい。しかし真ん中には一本の芯がまっすぐ、たくましく通っている気がする。それはまるで、歌手として、また一人の女性として酸いも甘いも経験してきた彼女の人生そのもののようである。65歳の歌声は強くて、切なくて、紡がれる言葉には説得力があった。ハートがあった。だから、観客ひとりひとりを惹きつけて離さなかった。私は終始、こみ上げてくる涙を抑えることができなかった。心がぎゅっと締めつけられ、次の瞬間、パッと緩む。そんな繰り返しを経て行き着いた先は、とても穏やかな気持ち。こんなライブ体験は初めてである。

 終わりから2曲目に歌われた「You've Got A Friend」の後半パートでは「Thank you Tokyo~ドーモ~アリガトウ~♪」と日本語交じりで感謝の言葉を歌って示してくれた

こちらこそ、ありがとう。一生忘れないライブになりました・・・あなたのような~自然体で、やさしくて、強くて、何よりも音楽を愛している女性になりたいと思います。

 最後は3人のディーヴァたちがステージに現れ、「Dancing in the street」(オリジナルはMartha and the Vandellas。ミック・ジャガー&デヴィッド・ボウイのデュエットも有名。)と「A Natural Woman」(キャロル・キングの代表作「つづれおり」に収録の大名曲)を熱唱。

 それぞれジャンルタイプジェネレーションも違う3人・・・にも関わらず、いや、だからこそとってもいいケミストリーで会場を包み込んだ。

「3 Great American Voices

・・・yes, they really are.」

3人3様のステージを見終わり、改めてそう断言できる。このライブは「音楽史の『大事件』」として後世に脈々と語り継がれていくだろう。その事件の目撃者であれたことを、なんだかとっても誇らしく思った。


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番外編

「ここで終われば最高だったのに・・・」なエピソード。

このことに触れようかどうしようか迷ったけれど、やっぱり書くことにする。

ファーギー・ステージにて、ラストソングを立派に歌い終えた後のこと。「最後にスペシャルゲストを呼ぶわ!今日は彼女のバースデーなの!みんなでお祝いしてあげて!」とファーギー。「え~!一体誰が来るの?」と場内がざわめいた次の瞬間、我々の目に映ったのは・・・「こうだくみ」

は??

どうやらお客としてステージ袖で観ていたようだが、トモダチ想い?のファーギーが「こうだくみ」さんをステージ上に呼び出し、バースデーケーキを振舞うという一幕があったのである。「一緒にバースデーソング歌ってあげましょ!」というファーギーの掛け声とともに、訳も分からぬまま武道館に「ハーッピーバースデートゥーユー♪」の合唱が響く。

は??

ファンの方には申し訳ないが、この演出はそっくりそのままカットしたい気持ちでいっぱいだ。「a-nation」ならともかく、ここは「3 American Great Voices」。残念ながら、まったく関係がない。テンションが最高潮に達していた私の気持ちは一気にトーンダウンした。「素晴らしい!」で終わるはずだったファーギーのステージはこうやって幕を閉じた。まぁ、ここでこんな力説するほどのことではないのだけれど、あの場面だけはどうしても切り取りたい、そう強く感じたので書き記しておく。演出担当の方、空気&流れを読むことは大事ですよね、やっぱり。じゃないとせっかくの作品が台無しですよ。

以上、番外編でございました。